共和機械が新型ヒビ卵検出装置『CEX』発売 画期的な「振動解析方式」を開発、国内特許を取得
共和機械㈱(友末琢磨社長―本社・岡山県津山市河面375)は、従来の音響解析方式とは全く異なる技術を用いた新型ヒビ卵検出装置「CEX」【写真下】をこのほど開発した。
従来方式のヒビ卵検査装置で使用している音響解析によるヒビ卵の検出は、実績のある技術として認知されている。ただ、卵殻の表面を検査棒でたたいて発生させた音をマイクで集めて解析し、正常卵とヒビ卵を判定する方式では、検査装置本体の駆動音や近隣の卵の打診音、機械装置のモーター音、コンベアの駆動音など、様々な雑音も空気を介して伝わる。したがって、これらの雑音を一切遮断することは物理的に不可能で、解析結果への影響は避けられず、また、検査装置の駆動音などが発生する中で音響解析に適した打診音を発生させるには、卵を強打する必要があり、卵殻への負担も大きかった。
共和機械では、音響解析の精度を上げるために試行錯誤を繰り返していたが、テストの過程で、ピンポン球にヒビが入ると弾まなくなるように、ヒビ卵では検査棒の先に付いている打診球の弾み方が少しだけ違うことに着目。検査棒の材質をしなやかで軽いものに変えることによって、正常卵とヒビ卵の弾み方の違いが明確になることが分かった。
これをヒントに同社では、卵殻の反発力をセンサーで直接検出する振動解析方式のヒビ卵検査装置の開発をスタートさせ、このほど新型ヒビ卵検出装置「CEX」を完成させた。
正常卵は反発力が強く、打診球はポンポンと何度もバウンドするが、ヒビ卵は反発力が弱いため、打診球はほとんどバウンドせず、反発振動の振れも早く収束する。
この新方式のヒビ卵検出技術では、卵殻をたたいた時の反発振動で検査するため、近隣の打診音や雑音、振動などの影響を受けず、安定した検査ができる。検査に必要な反発振動は軽くたたくだけで得られるため、卵殻への負担も小さい。さらに集音時の雑音対策が不要になるため、検査装置の小型化が可能になるなどの特徴がある。
新型ヒビ卵検出装置「CEX」は既存の洗卵選別包装機にも設置することが可能。国内での開発製品のため、部品の交換などのメンテナンス対応も迅速にできる。性能テストでは、すでに音響解析方式の従来装置を大きく上回る結果を出しているとのこと。また、この新方式のヒビ卵検出技術について国内で特許を取得した(特許第5832700号)。
同社では「振動解析方式は今後、鶏卵のヒビ卵検出装置の主流になる可能性を秘めている。この新しい技術で国内外の鶏卵の安心と安全に寄与したい」としている。
問い合わせは同社(電0868・26・6600、F0868・26・6608)へ。
【正常卵では検査棒の先に付いた打診球が何度もバウンドし、反発振動の振れも長く続く(上)、ヒビ卵では打診球がほとんどバウンドせず、反発振動の振れも早く収束する(下)】