プライフーズ「三沢みどりの郷工場」完成 国産銘柄鶏で冷凍加工食品を生産
食肉生産・加工・販売大手のプライフーズ(株)(山本泰也社長―本社・青森県八戸市卸センター1―11―8)は、同社の三沢食鳥処理工場と加工食品工場の隣接地に建設していた冷凍加工食品の「三沢みどりの郷工場」が完成したことから、7月24日に同工場で落成式を行なうとともに、「きざん三沢」で記念祝賀会を開いた。
同社は、2008年に三井物産グループの4社が合併し、食鳥・種豚の生産飼育、食肉処理、加工食品製造、食肉・食鳥販売、食鳥処理設備・機械のエンジニアリングを行なう総合畜産企業として発足、4つの社内カンパニーで会社総体として畜産の6次産業化を実践している。
落成した新工場の床面積は約1万平方メートルで、総工費は約40億円。今期は年間1300トンの冷凍加工食品を生産し、売上高は約10億円だが、2017年度までに年間6000~7000トンで約50億円の売上高を目指す。従業員数は80人でスタートするが、将来的には100人規模の増員を見込み、地域の雇用の創出と活性化にも貢献する。
原料となる鶏肉は、プライフーズ(株)第一ブロイラーカンパニーが、北海道・東北の指定農場で生産した国産銘柄鶏(真健鶏=しんけんどり)を使用し、一貫したトレーサビリティと徹底した安全管理体制が確立した安全・安心でヘルシーな商品を消費者に届ける。来年7月を目途に、食品安全管理システムの国際規格FSSC22000取得にも取り組む。
新工場には、高生産性重視の最新製造設備がズラリと並んでいる。原料肉処理工程には、センサーで肉の形状を認識し、自動で等分にカットする機械を導入。また、肉本来のおいしさを逃さないよう、凍結品の解凍工程では、低温蒸気解凍機を導入し、加熱工程では、油の酸化を抑える高圧蒸気を活用したフライヤーや、肉の表面をすばやく加熱して風味を閉じ込めるオーブンを導入して、よりおいしく、ジューシーでヘルシーな仕上がりになるようにしている。さらに、冷気を作る冷凍機の能力を自動制御して最適化する冷凍設備や、二酸化炭素排出量が少ないLPG燃料ボイラーを導入するなど、省エネルギー化・省資源化にも配慮している。
製造するから揚げやミートボール、焼き鳥、トンカツなどの冷凍加工食品は、国内大手の冷食メーカーで、2010年の第三者割当増資で株主となった日本たばこ産業(株)100%子会社のテーブルマーク(株)(日野三代春社長―本社・東京都中央区)に販売する。また、同じく株主で食肉卸・加工大手のスターゼン(株)(中津濵健社長―本社・東京都港区)から豚原料肉の供給を受け、商品の共同開発にも取り組む。
新工場での厳かな神事で今後の発展を祈願し、きざん三沢に場所を移して開かれた落成祝賀会であいさつした山本社長は、多数の出席者に謝意を表するとともに、「2010年10月にわが社の中核事業であるブロイラー事業をさらに発展させるために、第三者割当増資を行ない、新しい加工工場の建設を決定した。しかし、昨年3月の東日本大震災で、わが社も停電・飼料不足などで大きな被害を受けた。幸い、行政・関係各社・地域の皆様の支援とご協力、従業員一人ひとりの力の結集によって、予想以上に早く復旧することができ、こうした皆様のご恩に報いたいと、計画通りに昨年11月に新工場の建設に着手した。
最近の日本の鶏肉市場は、消費は順調に推移しているものの、海外から輸入される鶏肉とその加工品が増加し、国産鶏肉の相場は低迷している。新工場では、国産の銘柄鶏を使って、消費者に一層喜んでいただける高品質で付加価値を持ったおいしい商品作りを目指し、社員一同頑張っていきたい」などと抱負を述べた。
祝辞を述べた三村申吾青森県知事と種市一正三沢市長は、それぞれ「新工場と地域の発展に力を合わせていきたい」とし、テーブルマークの日野社長は「生産される冷凍食品を一生懸命に販売することで、共に働きましょう」と激励した。
工事関係者へ感謝状が贈呈され、スターゼンの中津濵社長の発声で乾杯し、なごやかに歓談。三井物産(株)の藤吉泰晴食糧本部長補佐の中締めで散会した。
【三沢みどりの郷工場の全景(左)と、生産されるテーブルマーク冷凍食品】