高病原性鳥インフル 15県・36事例、約603万羽に拡大

昨年11月5日に香川県で今シーズン初めて発生したH5N8亜型の高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)は、年明け後も岐阜県、千葉県、鹿児島県で発生し、1月18日時点で15県・36事例(被害羽数は採卵鶏456.3万羽、育雛鶏64.5万羽、採卵種鶏2.8万羽、肉用鶏73.5万羽、肉用種鶏5.5万羽で、累計は約602.5万羽)に拡大した。

 

11月5日の初発から13事例まで拡大した香川県では、発生が集中した三豊市を含め、すべての防疫措置を完了して清浄性を確認し、1月11日までに搬出制限区域を解除。2例目の東かがわ市の事例は12月4日、三豊市で発生した12事例は1月16日に移動制限区域が解除された。

2番目に多い9事例が発生した宮崎県では、1月11日までに5事例(県内1~2例目、6~8例目)で移動制限区域が解除された。県内3~5例目の3事例は12月23日、県内9例目は1月15日に搬出制限区域が解除。今後新たな発生がなければ、1月22日にそれぞれの移動制限区域が解除される見込み。

各1事例の発生となった福岡県は12月20日、兵庫県は12月25日、奈良県と大分県は1月2日、和歌山県は1月4日、滋賀県は1月5日、広島県と岡山県は1月8日、高知県は1月10日、徳島県は1月12日に移動制限区域が解除された。

千葉県では、12月24日にいすみ市の採卵鶏農場(約114万羽)で発生し、自衛隊などの協力を得て予定より早い1月2日に殺処分を終了したが、1月11日には約114.5万羽の採卵鶏農場で2例目が発生した。2例目の殺処分は進められているが、防疫措置の完了時期は未定。

岐阜県では、美濃加茂市の採卵鶏農場(約6.8万羽)で発生。半径3キロメートル以内の移動制限区域には6農場、約11.9万羽、3~10キロメートル以内の搬出制限区域には26農場、約100万羽が飼養されている。発生農場の殺処分と防疫措置は1月5日に完了した。

鹿児島県では、1月13日にさつま町の肉用鶏農場(約3.2万羽)で発生した。鹿児島県での発生は2011年以来。防疫措置は1月14日に完了したが、半径3キロメートル以内の移動制限区域には8農場、約31万7600羽の肉用鶏が飼養され、3~10キロメートル以内の搬出制限区域には肉用鶏28農場・約146万800羽、採卵鶏5農場・約17万6500羽が飼われているため、県内の関係者は警戒を強めている。

農林水産省では、今シーズンは世界的にも鳥インフルエンザの発生が相次ぐ非常事態で、ウイルスが多量に、池、川、道路、野山、森、公園などのあちこちに存在している可能性があるとし、ウイルスを農場内に入れないために、消毒や防鳥ネットの管理、ネズミや猫の野生動物対策などの徹底を呼びかけている。また、鳥インフルエンザが疑われる鶏の元気消失、顔面の浮腫性腫脹、肉冠のチアノーゼ、突然死の症状や何らかの異常、死亡羽数の増加がみられた場合は、最寄りの家畜保健衛生所に早期通報してほしいとしている。

また、全農グループでは、鳥インフルエンザ防疫対策のポイントや予防対策チェックリスト、消毒薬の解説などを掲載したリーフレットを生産者向けに配布している。

韓国は62戸で発生

韓国では今シーズン、1月17日時点で京畿道、慶尚北道、慶尚南道、忠清北道、忠清南道、全羅北道、全羅南道、世宗特別自治市の62戸(アヒル33戸、採卵鶏18戸、ブロイラー2戸、ウズラ3戸、種鶏4戸、観賞用鳥類2戸、合計約391.6万羽)でH5N8亜型のHPAIが発生した。

韓国では、発生農場の半径3キロメートル内の農場の家きん類も予防的殺処分とする方針で、疫学関連農場を含めると、全体で90戸、約570万羽が殺処分された。

令和2年度の高病原性鳥インフルエンザ発生状況