卵や鶏肉は安全! 鳥インフルの風評被害防ごう
家畜疾病の発生が大々的に報道されると、一部の消費者の感情的な行動から風評被害が起きることがあり、今回の鳥インフルエンザの発生でも少数のスーパーや施設での不適切な表示や対応が聞かれている。新型コロナウイルス感染症の影響で、人々がウイルスに対し、より感情的になりやすくなっているが、科学的かつ冷静な理解を川下まで共有し、新たな被害を広げないことが重要となっている。
食品安全委員会は、ホームページで同委員会の考え方(http://www.fsc.go.jp/osirase/tori/tori_iinkai_kangaekata.pdf)として「鶏肉・鶏卵は『安全』と考えます。わが国の現状においては、鶏肉や鶏卵を食べることにより、鳥インフルエンザ(ウイルス)がヒトに感染する可能性は、以下の理由から、ないと考えています。
・ウイルスがヒトの細胞に入り込むための受容体は鳥の受容体とは異なること
・ウイルスは酸に弱く、胃酸で不活化されると考えられること」と明示している。
農水省が消費者向けに発信している、鳥インフルエンザウイルスに関する科学的な情報は次の通り。
①鳥インフルエンザは、A型インフルエンザウイルスが起こす鳥の病気。
②発生が確認された農場の家きん、鶏卵などが市場に出回ることはない。
③移動制限や搬出制限などは、家きんがウイルスに感染することを防止するためのもので、出荷物が人の健康に影響するためではない。
④わが国ではこれまで家きん肉・卵を食べることで鳥インフルエンザウイルスが人に感染した例は報告されていない。
⑤国内で鳥インフルエンザが発生したからといって、ただちに家庭等で飼っている鳥が感染するということはない。飼っている鳥を野山に放したり、処分するようなことはしないこと。
消費者庁も同様の情報発信のページ(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_012/)で「根拠のない噂などにより混乱することなく、正確な情報に基づいて冷静に対応していただきますようお願いします」と呼びかけている。 また、現実の商取引上で風評被害を受けた場合は、自治体や国に相談し、正してもらう方法も考えられる。農水省・食肉鶏卵課では、スーパーなどを巡回して必要に応じ指導を行なっており、現時点ではおおむね冷静な対応だが、今後も必要に応じ情報提供や指導を行なうとしている。
香川県は、鳥インフルエンザに関する県民の相談や問い合わせに対応する窓口を設置し、一覧をホームページ(https://www.pref.kagawa.lg.jp/content/dir6/dir6_4/dir6_4_5/wyilyl180115093207.shtml#04)に掲載。健康や食の安全、ペット、養鶏農家の経営に関することなどに、各部署で幅広く応じている。
農水省・安全政策課などは11月5日付の文書で畜産物の生産や食品の製造・流通にかかわる112団体の長に対し、「〇〇県産のものは扱っていません」などの不適切な告知や、発生県産であることのみを理由とした取引拒否などが行なわれることがないよう、会員への正確な知識の周知を要請。12日にも文科省初等中等教育局健康教育・食育課長宛てで、学校給食における家きんの肉や卵の使用について、正しい知識に基づき適切に対応するよう、教育委員会への周知を要請した。
正確な情報の詳細や相談は各機関へ。