鶏卵相場は150円割れ 待ったなしの需給回復策
鶏卵は、国内自給率が約96%と、わが国の農畜産物の中では非常に高い水準を維持し、その需給や相場は、消費構成の約5割を占める家庭用のみならず、残る5割の業務・加工需要の動向にも大きな影響を受ける構造となっている。
新型コロナウイルス感染症の対策によって、家庭消費は堅調に推移し、4月までの鶏卵相場(東京M基準)は前年同月を上回ったが、4月下旬以降は、業務・加工筋の大幅な需要減から、供給過多となって下押しに転じた。
6月15日には155円まで下がり、1か月以上保ち合ってきたが、梅雨と気温の上昇などの季節的要因も加わり、7月27日にはさらに10円安の145円に落ち込んだ。7月の月間平均は、何とか前年を上回る154円となったが、8月は前年の150円を下回ることは必至の情勢となっている。
成鶏更新・空舎延長事業の発動基準となる日ごとの鶏卵標準取引価格は、5月18日に令和2年度の安定基準価格161円を下回り、7月27日には150円台を割り込み149円となった。
(一社)日本養鶏協会の齋藤利明会長は、今年3回目となる会員向けの要請文書「今までの経験が通じないコロナ後の対応に向けて――需要に見合った生産へのお願い」を発信。鶏卵産業が再び活力を取り戻せるよう、日本養鶏協会の会員が一丸となって需要に見合った生産をするよう呼びかけた(別掲)。
JA全農たまご㈱が、ひなえ付け羽数から推定した稼働羽数は、8月は前年同月比99.56%の約1億3842万羽、9月は同100%の1億3921万羽と増える見通しで、あらゆる需給回復策が待ったなしに必要な状況と言える。
日本養鶏協会では8月5日に、農水省の補助を受けた「鶏卵生産者経営安定対策事業」の『鶏卵需給見通し作成』会議を開くことにしており、ここでも厳しい見方が示されることになるとみられる。