令和12年度の生産努力目標 鶏肉170万トン、鶏卵264万トン 食料・農業・農村基本計画
国内消費仕向量は鶏肉262万トン、鶏卵261万トン
農林水産省の食料・農業・農村政策審議会は3月25日、食料・農業・農村基本法に基づき、今後10年間に取り組むべき方針を示す「食料・農業・農村基本計画」を江藤拓農林水産大臣に答申した。同計画では、令和12(2030)年度の食料自給率を、カロリーベースで平成30(2018)年度の37%から45%に引き上げる目標となっている。
答申されたされた食料・農業・農村基本計画では、①食料、農業および農村に関する施策についての基本的な方針②食料自給率の目標③食料、農業および農村に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策④食料、農業および農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項――について示している。
食料自給率の目標のうち、供給熱量ベースの総合食料自給率は平成30年度の37%から令和12年度は45%、生産額ベースの総合食料自給率は平成30年度の66%から令和12年度は75%に、飼料自給率は平成30年度の25%から令和12年度は34%に引き上げている。
本紙関係の鶏卵、鶏肉に関する直接的な施策の記述はないが、「令和12年度における食料消費の見通しおよび生産努力目標」の中で、鶏肉の『国内消費仕向量』は、平成30年度の251万トンから令和12年度は262万トンになるとしている(1人・1年当たり消費量は平成30年度の14キロから令和12年度は15キロ)。『生産努力目標』は、平成30年度の160万トンから令和12年度は170万トンに引き上げている。
一方、鶏卵の『国内消費仕向量』は、平成30年度の274万トンから令和12年度は261万トンになるとしている(1人・1年当たり消費量は平成30年度、令和12年度とも18キロで据え置き)。『生産努力目標』は、平成30年度の263万トンから令和12年度は264万トンに引き上げている。
鶏肉、鶏卵の克服すべき課題としては「高病原性鳥インフルエンザ等家畜疾病に対する防疫対策の徹底」「家きんの改良、飼養管理の向上による生産コストの削減」が共通しているほか、鶏卵については「高品質、安全性等のPRを通じた、国内外の需要拡大」を付け加えている。
他の畜産物のうち、生乳の『国内消費仕向量』は、平成30年度の1243万トンから令和12年度は1302万トン(1人・1年当たり消費量は平成30年度の96キロから令和12年度は107キロ)。『生産努力目標』は、平成30年度の728万トンから令和12年度は780万トンに引き上げ。
牛肉の『国内消費仕向量』は、平成30年度の93万トンから令和12年度は94万トン(1人・1年当たり消費量は平成30年度の6.5キロから令和12年度は6.9キロ)。『生産努力目標』は、平成30年度の33万トンから令和12年度は40万トンに引き上げ。
豚肉の『国内消費仕向量』は、平成30年度の185万トンから令和12年度は179万トン(1人・1年当たり消費量は平成30年度、令和12年度とも13キロで据え置き)。『生産努力目標』は、平成30年度の90万トンから令和12年度は92万トンに引き上げ。
飼料用米の『国内消費仕向量』は、平成30年度の43万トンから令和12年度は70万トンにし、『生産努力目標』も同様に平成30年度の43万トンから令和12年度は70万トンに引き上げている。飼料用米の克服すべき課題としては「飼料用米を活用した畜産物のブランド化と実需者・消費者への認知度向上・理解醸成および新たな販路開拓」「バラ出荷やストックポイントの整備等による流通段階でのバラ化経費の削減や輸送経路の効率化等、流通コストの低減」「単収の大幅な増加による生産の効率化」を挙げている。
このほか、家畜排せつ物処理施設の機能強化・堆肥化のペレット化等の推進、畜舎等のコスト低減、農林水産物・食品の輸出促進、輸入穀物等の安定的な確保、家畜防疫対策の徹底、飼料用米の生産・流通コストの低減と耕畜連携の推進などにも取り組むとしている。