鶏肉約16~32億円、鶏卵約24~48億円 日米貿易協定による生産額への影響

日米の両首脳で合意・署名した日米貿易協定の国会承認案が10月24日の衆院本会議で審議入りした。政府・与党は今国会での承認と来年1月1日の発効を目指し、11月上旬にも衆院を通過させたい考え。

農林水産省が試算としてまとめた「日米貿易協定による農林水産物の生産額への影響」では、農林水産物の生産減少額は約600~1100億円。TPP11と日米貿易協定を合わせると約1200~2000億円分の国内生産が減少するとしている。

日米貿易協定の生産減少額を品目別にみると、米は関税削減や輸入枠の対象から除外されたが、牛肉は生産額への影響が最も大きく約237~474億円、次いで牛乳乳製品の約161~246億円、豚肉の約109~217億円となっている。

鶏肉(生鮮、冷蔵)と鶏肉調製品(牛・豚の肉を含むもの)、殻付卵は日米協定では関税交渉の対象から除外され、現行通りの関税率を維持することになったが、鶏肉(冷凍)、鶏肉調製品(牛・豚の肉を含まないもの)、全卵または卵黄、卵白はTPPと同じように段階的に削減し、最終的に撤廃することになっている(本紙10月5日号既報)。これによる国内の生産減少額は、鶏肉で約16~32億円、鶏卵で約24~48億円と試算している。

なお、同省はTPP11協定の影響について、鶏肉は「参加国からの輸入の大宗を用途・販路が限定されている冷凍丸鶏が占めているため、引き続き国内生産が維持」され、鶏卵も「輸入のほとんどが、すでにEPAを締結し無税となっているメキシコからの卵白粉であることから、引き続き国内生産量が維持される」と見込んでいた。

また、日EU・EPAでは、鶏肉はEUからの輸入実績がわずかで冷凍丸鶏や冷凍骨付きもも肉が過半を占めていることから、国内生産量が維持されると予測。鶏卵は輸入の太宗を卵白粉が占めていることから「国内生産量が維持される」としたものの、生産量の4%を占める業務・加工用卵白の需要に影響があるとして約4~8億円の生産減少を予測していた。