全国畜産縦断いきいきネットワークが大会

「女(ひと)と男(ひと)ですすむ経営参画~ともに歩みだそう、新しい時代へ~」テーマに

パネルディスカッションでは聴講者の意見や質問も積極的に受け付けた

畜産業界の女性でつくる全国畜産縦断いきいきネットワーク(事務局・〈公社〉中央畜産会内)は8月22日、東京都中央区のTKP東京駅日本橋カンファレンスセンターで令和元年度大会を開き、会員、協賛会員、その家族や友人ら約160人が出席した。

今回は大会テーマを「女(ひと)と男(ひと)ですすむ経営参画~ともに歩み出そう、新しい時代へ~」とし、JRA事業の『畜産女性経営者育成強化事業に係る全国シンポジウム』と同時開催。小林陽子会長(養豚・三重県)は開会あいさつで「現在のように不安な時こそ、仲間の存在を心強く感じる。本日は農、食、そして経営について大いに語ってほしい。皆さんと励まし合い、喜び合える絆が深まればと思う」などと述べた。

農林水産省生産局畜産部畜産企画課の伏見啓二課長と、中央畜産会の井出道雄副会長が来賓あいさつし、シンポジウムでは同省経営局就農・女性課の横田美香課長が『男女共同参画の目指すところ』について基調講演。横田課長は、畜産に携わる女性にこそ積極的な発言や情報発信が求められるとした上で「良い発言をするには訓練が必要。よりアンテナを高くして、いろいろな情報を集めなければいけない。農水省も皆様とともに、そのための仕組み作りを進めていく」とした。

パネルディスカッションには養鶏業界から2人が参加。㈲畠中育雛場を経営する畠中五恵子さん(採卵鶏・福岡)は、夫が農場管理に集中し、自身が経営と情報発信に努める体制で事業を発展させてきたと紹介。互いの仕事内容を知りすぎると〝口出し〟したくなるため、あえて一定の距離を取ることもコツだと説明した。

同社の現状については、今年7月21日の落雷で成鶏舎2棟(約2万6000羽)を焼失したが、家族で弱音を吐かず、前向きに事業再建に向かっていると強調。豚コレラや口蹄疫、東日本大震災などで苦しんだ畜産仲間の苦労にも触れ「私も必ず再建する」と力を込めた。

もう1人は㈲坂本養鶏の坂本直弥さん(同・神奈川)で、担当を性別で決め付けるのは時代にそぐわないと指摘。家業を継ごうと決意した背景には、悔しい思いもしながら、養鶏場を懸命に支えた母親の姿があると振り返った。

また坂本さんは、少子高齢化時代にあって消費拡大のカギはスポーツ人口の増加にあるとの考えを話し、その中でも、一般の何倍も卵を食べるラガーマン(女性含む)を増やそうと、県内ラグビークラブのスポンサー活動などを展開していると紹介した。

恒例の1分間スピーチでは㈱百姓屋の市丸初美さん(佐賀県・肉用鶏)と娘の谷口未佳さん(同)、㈱山下鶏園の山下恵美子さん(三重県・採卵鶏)、㈱卵娘庵の藤井美佐さん(岡山県・同)らが、自社の経営や、夫への感謝など、それぞれの思いを話した。

畜産女性のさらなる団結と、消費者から信頼される国産畜産物の生産、消費拡大のための情報発信などを誓った大会宣言を採択し、閉会した。