ヘンドリックス養鶏セミナー 東京、名古屋、鹿児島の3か所で
HG社の概要と欧米の動物福祉、デカルブ・ホワイトの性能を紹介
採卵鶏の育種改良を行なうヘンドリックス・ジェネティックス社(HG社、本社・オランダ)は6月18日に東京都港区のホテルアジュール竹芝、19日に名古屋市中村区のキャッスルプラザ名古屋、20日に鹿児島市のパレスイン鹿児島で「ヘンドリックス・ジェネティックス養鶏セミナー」を開き、孵化場関係者や鶏卵生産者ら、3会場合わせて約250人が参加した。
HG社の採卵鶏日本エリアマネージャーで、㈱アイエスエージャパン社長の後藤直樹氏は、日本の低卵価や、米国の天候不順による飼料穀物の生産動向など、不透明な状況が続いているとしたうえで「もう1つ問題となっているのが動物福祉で、日本でも取り上げられるようになった。ヨーロッパでは当初、エンリッチドケージが動物福祉に適合した飼養システムとして認められていたが、やはりケージ飼育には変わりないということで否定されつつある。米国では消費者より早くスーパーや小売りチェーン、フードサービスが動物福祉に反応することで、その対応が進行しつつある。今後OIE(国際獣疫事務局)が採卵鶏の動物福祉基準にどのような結論を出すか、我々も心配している。今回のセミナーでは、採卵鶏の動物福祉に焦点を当て、改めてその経緯を振り返り、今後の動向と予測を紹介して、皆さんの議論の参考になればと考えている。
一方、動物福祉の議論は育種会社にとっても避けることができない問題である。これまでケージ飼育を中心に生産性を発揮する育種改良を進めてきたが、動物福祉によって鶏が自由に動き回り、ケージ飼育とは異なる環境の中でも生産性を発揮する育種改良も余儀なくされている。セミナーではHG社の動物福祉、あるいは非ケージシステムに対応するための採卵鶏の育種改良と、欧米の非ケージシステムで優れた生産性を示しているデカルブ・ホワイト(ジュピター)について改めて紹介したい」などと、今回のセミナーの趣旨を説明した。
駐日オランダ大使館のエバートヤン・クライエンブリンク農務参事官は「日本はオランダにとって重要な貿易相手国である。両政府は低病原性鳥インフルエンザ(LPAI)発生時の地域主義に合意し、初生ひなを含む家きん製品の対日輸出が可能になった。さらに高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)発生時の地域主義についても協議しており、最終段階に来ている。6月中に合意することを願っている。これによりオランダでHPAIが発生しても、影響を受けるのは発生地域のみで、初生ひなを安定的に輸出できる」などと述べた。
セミナーでは、HG社採卵鶏取締役営業・マーケティング部長のアリアン・グルート氏が「ヘンドリックス・ジェネティックスの進歩」と「世界における動物福祉の動向」、同社取締役開発部長のフランス・ヴァン・サンビーク氏が「ケージ飼育と非ケージ飼育採卵鶏の遺伝選抜」と「デカルブ・ホワイトのケージ/非ケージ飼養管理ポイント」、後藤氏が「群馬県採卵鶏経済検定結果から見たデカルブ・ホワイト」と題して講演した。
(講演要旨などの詳細は本紙をお読みください)