台風で養鶏関係にも被害
施設の損壊や停電による生産へのダメージ、製品販売の停滞など
今秋は台風が立て続けに日本列島を襲い、各地で電力や水道、交通インフラが麻痺。建物や家屋の損壊のほか多数のけが人、死者・行方不明者を出すなど、甚大な被害をもたらしている。
平成30年は、これまで7月豪雨に加えて、東から西に進んだ台風12号が7月29日に三重県、台風15号が8月15日に宮崎県、台風20号が8月23日に徳島県、台風21号は9月4日に徳島県、24号は9月30日に和歌山県に上陸。台風5個の上陸は1954、62、65、66、89年に並び過去67年間の統計で3番目の多さ。
農林水産省は10月4日、台風21号の被害状況をまとめ、同日現在の農作物や農地、施設、林水産関係の合計被害額を278億3000万円と公表した。
このうち畜産の被害は、家畜(へい死、廃用など)が岐阜、愛知、三重、京都、和歌山、徳島、高知の7府県で2万8914頭羽(被害額3000万円)、畜産物(生乳等の損失)が北海道、愛知、三重、滋賀の4道県で19トン(被害額は調査中もあり未発表)、畜産用施設は22道府県の724件(7億円)など。
養鶏産業や関連業界でも、猛烈な雨風により中部、近畿、四国、東海地方を中心に鶏舎や建物、設備機器の損壊、社有車、配送車の浸水・破損などの被害があり、関西電力管区の停電や断水、物流インフラへの打撃や販売先の休業などで鶏卵、鶏肉、加工食品、飼料、関連資材などの生産ストップ、出荷の停滞などの被害が出た。
台風24号も風が強く、鶏舎の損壊などが起きたほか、中部・九州・沖縄・東京・関西電力管内の広範囲の停電や断水により、畜産物の生産・販売にも影響が出た。
政府は9月28日の閣議で、8月20日から9月5日までの災害(台風19、20、21号の被害)を激甚災害に指定することを決め、10月1日に公布・施行した。
米国でも甚大なハリケーン被害
米国でもハリケーン「フローレンス」が9月14日に東海岸に上陸。記録的な洪水で多数の家屋が流され、40人以上が死亡したと報じられている。
家禽産業にも被害が及び、同国の畜産メディア「ワット」誌によると、ブロイラー全米3位のサンダーソンファームズではノースカロライナ州のコマーシャル60農場と種鶏4農場が浸水し、170万羽がへい死。飼料供給も一部の農場で途絶した。
米国最大の七面鳥生産会社のバターボールと、ブロイラー全米トップのタイソン・フーズ、同4位のパデューファームズは、ノースカロライナ州やサウスカロライナ州にある各社の拠点での操業を一時停止した。
一方、各社による被災者支援の動きもあり、パデュー社はトラックで鶏肉製品を寄付。タイソン社はアメリカン・エッグ・ボード(AEB)などと協力し、被災者への食事の提供を行なった。