郡単位への縮小を了承 米国のHPAI発生時の輸入停止区域 家きん疾病小委員会

米国でHPAI発生時の輸入停止区域の縮小について検討

農林水産省は7月9日、食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会の家きん疾病小委員会(委員長=伊藤壽啓鳥取大学教授)を開き、これまで米国で高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が発生した際に適用していた州単位のゾーニングを、今後は郡単位に縮小することについて、大筋で了承した。

日米両国は2012年6月以降、米国でHPAIが発生した場合、締結した家畜衛生条件により州単位のゾーニングを適用して輸入停止措置などを決めているが、米国から州単位では経済的損失が大きいとして、州の下位行政区分である郡を適用単位とするゾーニングへの変更を要請されたため、昨年10月6日に農林水産大臣が食料・農業・農村政策審議会に検討を諮問。家畜衛生部会が家きん疾病小委員会の専門家の意見を求めた。昨年12月の小委員会では、2014~15年に中西部で発生したHPAIを踏まえた米国の防疫強化策の追加情報の収集後に再検討することにしていた。

今回、事務局の農林水産省が収集した米国の防疫強化策については、

①米国では、HAPIの発生予防、発生時のまん延防止の対応計画、人員計画が整備されており、サーベイランスと啓発活動の実施などによる早期摘発体制も整えられ、清浄性を早期に再獲得するための一連の体制が整備されている。

②2014~15年の発生を踏まえた対応計画に基づき、2016年と17年のHPAI、LPAIの防疫措置が講じられた結果、発生規模はいずれも限定的なものとなった。

③米国でHPAIが発生した場合であっても、家畜衛生当局の迅速・適切な防疫措置が講じられれば、発生が発生農場周囲に設定されるコントロール・エリア内に封じ込められる可能性が高い。

④米国でHPAI発生時に提供された情報で、③のことが確認できた場合、輸入停止措置の範囲を、コントロール・エリアを包含する最小の行政単位である郡に縮小しても、発生郡以外の地域から輸出される家きんや家きん肉等を通じてHPAIウイルスが侵入し、わが国の家きんに拡がるリスクは無視できる。

――などと総合評価。郡単位のゾーニング適用の要件として「地理的に近接した郡で、さらに同時多発的にHPAIが続発するなど、封じ込め措置が有効でない場合は、輸入停止措置の範囲を州に戻すなどの措置がとれるようにする」ことで意見を集約し、家畜衛生部会に報告することにした。

今後、家畜衛生部会で了承し、食料・農業・農村政策審議会が農林水産大臣に答申した後、二国間で家畜衛生条件の改正協議を進める。