もも肉などに荷余り感 食鳥協理事会

盛り上がりに欠ける需給

理事会であいさつする佐藤実会長

(一社)日本食鳥協会(佐藤実会長)は6月5日に平成30年度の第1回理事会を開き、第58回定時総会の日程と上程する議案を了承した。定時総会は6月20日午前10時45分から、東京都港区の浜松町東京會舘で開く。

佐藤会長は「国産チキンの需給については現在、盛り上がりに欠けて現場では苦労もあると思うが、あと2か月くらい経てば秋口になるため、何とか乗り越えられるのではないか。調味料メーカーが、9月から鶏肉を使った新しいテレビCMを展開するようで、国産チキンの需要のさらなる高まりを期待したい。現在は年末に向けて様々な仕掛けができるなど、力を蓄える時期である。内需拡大と輸出拡大の両輪でやっていきたい」などとあいさつした。

各部会からは、鶏肉の需給動向について次のように報告された。

▽生産加工部会=4月、5月の生産状況は各社まちまちで、寒暖の差もあって絶好調とは言えないが、まずまずであった。種鶏の育種改良で、ひなの生産性が向上しており、スペアひなも多くて育成率が跳ねている。販売状況はゴールデンウイーク以降、荷余り感があり、もも肉や手羽元が緩い。むね肉を挙げる会社もあった。銘柄鶏の売れ行きは順調である。先日、東京の錦糸町で「純レバ丼」を食べてきた。レバニラからニラを抜いたので〝純レバ〟というそうで、ご飯の上に甘辛く煮込んだ鶏レバーとネギが盛られている。レバーの消費拡大の起爆剤になるかもしれない。

▽荷受部会=販売状況は良くない。ゴールデンウイーク明けは量販店も前年比100%割れを起こしている。好調なのは手羽先、レバー、砂肝で手羽元は非常に悪い。もも肉も販売不振で、特売で何とかさばいている。年末に向けて産地での凍結も増えており、今の相場と荷動きは連動していない。ブラジルでの減産とストライキの影響で輸入鶏肉の市況は高騰しており、タイ産も日本向けには1トン当たり2200ドル値上げした。

加工メーカーは比較的順調で、秋には国産むね肉を使った商品も出てくると聞いている。総菜や中食、外食では国産の焼き鳥への引き合いが強いものの、需要に応えられていない。豚肉価格の上昇やブラジルの件が国産鶏肉への追い風になることを期待したい。

▽小売部会=4月の花見需要は開花が早く、盛り上がりに欠け、ゴールデンウイークは休みが1日少なかった。お客さんが外食に流れたことも影響したのではないか。水産物の売り上げも悪く、肉志向が強いものの、牛肉にシフトしている。総菜を購入したその場で食べられるスーパーやコンビニが増えており、鶏肉専門店と競合している。4月まではささみの荷余り感があったが、ささみの開きを作って販売すると売れた。外食は人手不足とコスト高で出店を控えている。

▽種鶏ふ卵部会=4~6月のえ付け羽数は年初めに予想した数字に達していないのではないか。正確な統計はまだ出ていないが、前年割れしているのではないかと感じている。7月のひなの注文も伸びていない。今年の増産意向に対応して種鶏を導入しているが、鶏舎の建設の遅れやチャンキーの生産性向上で種卵は余り気味である。8月から種卵が不足する計画であるが、暑い日が続かなければ乗り越えられると思う。

ひな価格の値上げにご理解いただきたい。このままだと、ひなの安定供給に支障が出るおそれがある。自動車産業が近くにある地域では社員の採用すらできない。社員の給料を上げないと離職が増えるため、現状に合った適正価格へのご理解をお願いしたい。

30年度事業計画を協議 鶏肉市場活性化委

日本食鳥協会の国産鶏肉市場活性化事業実行委員会(委員長=辻貴博貞光食糧工業㈱社長)は同日、平成30年度の第1回委員会を開いた。

委員会には(一社)日本唐揚協会の八木宏一郎専務理事がオブザーバーとして出席し、4月18日に開催した第9回「からあげグランプリ」授賞式の概要を報告したほか、日本食鳥協会とのコラボレーション企画について意見交換した。

30年度の事業計画については、国産チキンの機能性に関するチラシやシンボルマークのピンバッジの作成、国産チキン表彰の日程と対象者、料理教室の実施、夏の国産チキンまつりなどについて協議した。