結束してTPP対策の実現を

鶏卵・鶏肉は、飼料効率が良く、栄養的にも、栄養や機能性の面でも優れていることが認められ、加えて国産に対する堅調な需要に支えられて価格も安定してきた。この良好な需給環境を長く持続させ、国内の鶏卵・鶏肉産業の成長・発展に結びつけなければならない。
当面の脅威は、鳥インフルエンザ(AI)と輸入鶏卵・鶏肉であるが、AIについては各自がバイオセキュリティを強化し、万全な防疫対策を徹底する必要がある。
輸入対策としては、それぞれが品質とブランド力で消費者から支持される国産鶏卵・鶏肉を確立するだけでなく、国などが経営安定対策の拡充、コストダウンにつながる合理化・省力化の生産・流通設備への支援、国際価格に比べて高い飼料や生産資材の規制撤廃などを強化する必要がある。
日本や米国、オーストラリアなど12か国は去る10月5日、関税撤廃など包括的な市場アクセスを内容とするTPP(環太平洋経済連携協定)交渉で大筋合意した。TPPは、2年以内に全参加国の議会で承認されるか、GDPの合計が85%以上を占める6か国以上で承認されると発効するため、国際化への対応は待ったなしだ。
合意内容では、鶏卵・鶏肉の関税は一定の期間を置いて全廃される。中でも、鶏卵の凍結卵白と卵白粉は発効時に即時撤廃され、凍結全卵と凍結卵黄、卵黄粉は毎年段階的に引き下げて6年目に撤廃される。
ゆで卵を含むその他殻付卵は毎年段階的に引き下げて11年目。生鮮・冷蔵殻付卵は発効時に20%削減して6年間据え置き、7年目から毎年段階的に引き下げて13年目。全卵粉は発効時に50%削減して6年間据え置き、7年目から段階的に引き下げて13年目にそれぞれ撤廃される。
鶏肉は、その他鶏肉は段階的に引き下げて6年目。骨付きももは段階的に引き下げて11年目。鶏肉調製品の牛・豚肉を含まないものは段階的に引き下げて6年目。牛・豚肉を含むものは段階的に引き下げて11年目にそれぞれ撤廃される。
当初、政府は、鶏卵・鶏肉とも関税撤廃により加工用や業務用で輸入量が増加し、「鶏卵は国内生産量が17%、鶏肉は同20%程度の減少」が見込まれるとしていたが、大筋合意後に発表した影響分析では、TPP参加国からの輸入品は、用途が限られ、国産品との直接的な競合はほとんどないとして「影響は限定的」との見方に変更。長期的には「価格の下落も懸念されることから、生産性向上などの体質強化策の検討が必要」としているが、重要5品目に含まれていない鶏卵・鶏肉については、具体的な対策を示していない。
鶏卵業界では、「鶏卵は1~2%の需給変動で価格が乱高下して利益がなくなってしまう中で、液卵や粉卵の輸入が増えれば鶏卵産業は壊滅的な状況になる」とし、鶏卵生産者の経営安定対策と、国際化に対応できる生産・流通施設整備へ支援を求めている。
鶏肉業界も、「現状ではTPP加盟国からの輸入量は少ないが、短期的には豚肉の低級部位は鶏肉と競合するためその影響が心配される」とし、生産・流通施設整備への支援充実や、食鳥検査手数料の公的負担、加工肉製品・外食での原料原産国表示の義務化を求めている。まさに今年は、これらのTPP対策の実現へ向け、鶏卵、鶏肉業界の結束した働きかけが問われる一年となる。

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