米農務省が余剰卵1170万ドル分を買い上げ 殻付卵と加工卵

米国農務省農業市場流通局(USDA―AMS)は8月23日、余剰卵対策の一環として、1170万ドル(現在の平均レート1ドル=102円で約11億9340万円)分の米国産殻付卵と加工卵を買い上げると発表した。
米国政府は、市場で余剰となっている農畜産物の消化や、国内産農畜産物の消費拡大などを目的に、USDA―AMSを通して米国産農畜産物を定期的に買い上げている。買い上げは、規定の手続きによる生産者の申し込みから承認など、複数の段階を踏んで行なわれる。
事業は、米国の〝フードセーフティーネット〟の中心にもなっており、AMSは食糧補助プログラムなどを運営しているUSDAの食糧栄養局(FNS)と協力し、買い上げた農産物を全米の学校や、貧しい人向けのフードバンク、家庭などに配布している。
米国の卵価は、昨年のAIが終息してから、羽数の回復に需要回復が追いつかず、歴史的な低水準で推移している。アーナーバリー社のレポートによると、米国の指標となるアーナーバリー相場は昨夏に史上最高の1.88ドルに達したが、特に外食や食品メーカーなどの業務用需要が戻らず、「最終製品の鶏卵需要は10~15%減った」との声もある。6月初旬のアーナーバリー相場は0.55ドルまで下落。割卵用のB卵相場は史上最低の0.20ドル以下まで下落したとのこと。9月現在も0.6ドル前後の低水準で推移している。
例年、秋以降は需要が増えることから、今後は回復傾向での推移を期待する市場関係者もいるが、米国の採卵鶏飼養羽数が年末に、「AI発生前より約2000万羽多い、約3億2600万羽に達する」との予想もあり、米国の鶏卵市場は先が見通せない状況が続くとみられている。
USDAが購入した農畜産物の2016年度の暫定値(15年10月~16年8月26日)によると、卵を2249万797ドル(同期間の平均レート1ドル=113円で約2億5423万円)、2435万8800ポンド(単純計算で1キログラム=約2ドル)、鶏肉を1億8171万2362ドル(約205億3350万円)、1億7082万4500ポンド(1キログラム=約2.35ドル)で購入している。

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