原則は「輸入国名」案 加工食品の原料原産地表示検討会

加工食品の原料原産地の表示ルールについて検討する第8回検討会が9月12日に東京都港区の三田共用会議所で開かれ、消費者庁と農林水産省からは、すべての加工食品の原料原産地表示の導入に向け、国別表示を原則とする一方、一定の条件で例外として、切り替え産地を列挙する〝可能性表示〟や、外国産または輸入などの〝大くくり表示〟、輸入中間加工品に対応する〝加工地表示〟などの実行可能な案も示され、検討した。

第8回加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会の冒頭、森光座長が「すべての加工食品を対象とすることを根底に、議論を進める段階だと考える。国別表示を原則としたうえで、一定の条件のもとで事業者が実行可能な表示方法をとることを認める。同時に消費者の誤認を防ぐ方策も講じていくという観点で議論を進めてほしい」と述べた。
原料原産地表示での国別表示のルールは、①原料原産地表示を行なう原材料が、国産品にあっては国産である旨を、輸入品にあっては原産国名を表示する②原産地が2か国以上ある場合は、重量の割合が高いものから順に表示する③原産地が3か国以上ある場合は、重量の割合が高いものから順に2か国以上表示し、その他の原産地を「その他」と表示できる――となっている。
加工食品の原料原産地表示については、国別表示を原則とするが、国別表示が難しい場合の解決策として、事務局は①切り替え産地を列挙する〝可能性表示〟②「国産」「外国産」または「輸入」といった〝大くくり表示〟③原料原産地情報が分からない輸入中間加工品に対応する〝加工地表示〟――を改めて提案し、国別以外の表示を認める場合の条件や、消費者の誤認を防止するための方法案を紹介した。
〝可能性表示〟と〝大くくり表示〟について、委員からは「スーパーのラベルは表示面積が限られている。可能性表示で3か国以下を『その他』と表示した場合、お客様からの問い合わせに、ある特定の国や地域の原料を使っていると答えると、多くのお客様は原産国を隠したととらえて、大きなトラブルになる可能性がある。消費者が正しく理解できるかどうかが問題ではないか」「国数を限定して表示する必要があるのではないか」「大くくり表示の良さは、国産であることが明確に分かることだと思う。しかし、可能性表示と組み合わせると『国産または輸入』『輸入または国産』となり、何を伝えているのか分からなくなる」などの意見が出された。
〝加工地表示〟については「中間加工原材料を使用して国内で製造したものを『国内製造』と表示すると、『国産』との違いが分かりにくくなる」と慎重な意見が出されたほか、「事業者の負担にしかならないものは、表示の対象から外してほしい。すべての加工食品が表示対象であるが、せめて表示の対象となる原材料については、きちんと区分けしてほしい」との要望も出された。検討会では今年秋に中間的とりまとめを行なう予定。

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