波乱の幕開け? 鶏卵相場は止市の85~75円安、食鳥相場のもも・むね合計は30円安

鶏卵
1月5日の初市相場(M加重)は、止市(12月26日)に比べ東京は85円安の170円(前年初市比10円安)、大阪と名古屋は80円安の175円(同10円安)、福岡は75円安の165円(同15円安)でスタートした。
値下がりは年末年始の滞貨玉によるもの。荷受筋によると「12月中旬以降、各産地とも年始を控えた生産調整に入る一方、高卵価を受けて飼養期間を延長する動きもあった」ほか、需要面では大手加工メーカーなどが、2013年末の需給ひっ迫の経験などから積極的に在庫を準備したため、12月には手当てが弱まっていた。外食の「牛すき鍋」メニューなども、登場から3年目となり目新しさが薄れたことや、暖冬の影響もあって期待通りには振るわなかった。
東京の初市が85円落ちとなったのは平成21、22年以来6年ぶりで、鶏卵関係者の間では生産・販売を問わず「予想外だった」との声が多い。このうち産地からは「せっかく(高相場を)積み上げてきたのに非常に残念」「乱高下すると経営計画が立たない」、中間流通や食品メーカーからは「実感として需給が緩和していたので予想通り」「高卵価時は資金繰りが厳しく、川下に価格転嫁できていない中でようやく下がった」などの声が聞かれるが、「高卵価が続いても、気を緩めると卵価はすぐに下がる。また同じことを繰り返さないための警鐘と受け止めたい」とする声も。なお、平成21、22年の年間相場はそれぞれ175円、178円だった。
直近の相場展開については、初市の値下がりを受けて加工メーカーの割卵が始まり、量販店でも特売が企画されていることなどから、1月15日には東京で10円、19日に5円上昇し185円に。20日には大阪、名古屋、福岡でも10円上昇した。今後は、産地での生産調整による出回り量の抑制なども見込まれるほか、ようやく寒さが本格化する中、おでんや鍋、恵方巻き需要なども期待できるため、当面は強含みの展開になるとみられる。

鶏肉
1月7日発表の鶏肉相場(日経・東京、正肉加重)は止市(12月28日)に比べ、もも肉は6円高の694円(前年初市比1円高)、むね肉は10円高の307円(同31円安)、もも・むね合計は1001円(同30円安)のスタートとなった。
その後は産地処理場の休業明けとともに値下がりし、19日現在は、もも肉669円、むね肉278円、もも・むね合計947円に。暖冬により、国内生産が好調な一方、鍋物需要などが低調なため、在庫が積み上がっている。
特に輸入鶏肉は、2015年6~11月の6か月間で前年同期比約11%増の月間平均4万7655トン、同11月には2002年1月以来約14年ぶりの高水準となる5万7220トンが通関されるなど増加が目立っており、これに伴い輸入鶏肉の在庫量も、業界が相場低迷に苦しんだ2009年5月以来の12万トン台に上昇した。
なかでもタイ産鶏肉は、サイズ規格の正確さなどから、業務関係を中心に「少し高くてもタイ産を選ぶ」など高い評価が定着。欧州向けの停滞もあり、2015年6月以降は月間平均8000トン台後半の輸入が続き、10月には1万トンの大台に乗せた。
国内では寒さが本格化し、鍋物需要の盛り上がりが期待される一方、輸入鶏肉の急増や在庫の積み上がりが懸念材料となっており、加工向け需要が中心のむね肉の相場についても、300円台を割り込むなど弱含んできている。

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