「日本畜産物輸出促進協議会」設立 鶏肉と鶏卵は準備分科会でスタート

わが国の畜産業の振興のため、オールジャパン体制で畜産物の輸出促進を進める必要があるとして、畜産関係団体は12月8日、都内で「日本畜産物輸出促進協議会」(会長=中須勇雄(公社)日本食肉協議会会長)を設立した。協議会は畜産物の輸出促進のための事業や、情報の収集・分析・検討、共通問題の処理、関係諸官庁や団体との連絡調整を行なうことにしている。

政府は、日本再興戦略で、農林水産物・食品の輸出額を、2012年の約4500億円(13年は5505億円)から、2020年には1兆円に引き上げ、さらに2030年には5兆円とする目標を掲げている。
畜産物についても、国内は少子高齢化による需要の停滞、配合飼料価格をはじめとする資材価格の上昇によるコストアップなどの中で、海外の販路を開拓していくことが活路の一つとされ、国際的にも高い評価を得ている和牛を中心に政府も支援して輸出戦略が展開されている。
日本畜産物輸出促進協議会は、畜産物の輸出促進のための事業や、情報の収集・分析・検討、共通問題の処理、関係諸官庁や団体との連絡調整を行なうことを目的に、畜産物全体の連絡調整機関としての役割を担うもの。畜種別では、先行している牛肉が生産者団体や流通団体などを中心とする牛肉輸出振興部会を設置するほか、豚肉、鶏肉、鶏卵、乳製品はそれぞれ輸出準備分科会を設置することにしている。
このうち、鶏肉については日本食鳥協会を中心に、鶏卵については日本養鶏協会や日本卵業協会、全農などを中心に輸出準備会を設置することで進んでいる。
今年1~10月の鶏肉輸出量は前年同期比22%増の8902トン、輸出金額は13億8505万円で、輸出先の7割は香港、次いでカンボジアが13%、モンゴルが12%台。鶏卵の輸出量は、殻付卵が同51.4%増の1204トン、輸出金額は3億527万円で、そのほとんどが香港。最近では、鶏肉調製品や加工卵も輸出されているが、輸出にかかわってきた関係者は、既存の輸出先での競合が激化するような輸出促進ではなく、ロシアなど新たな輸出先の開拓につながることを期待している。
12月8日に開かれた同協議会の設立総会で、発起人を代表してあいさつした(公社)中央畜産会の南波利昭副会長は、今年1~10月累計の牛肉の輸出量が昨年1年間の実績を上回ったことを紹介し、「牛肉だけでなく豚肉、鶏肉、鶏卵、乳製品まで広げ、オールジャパンで一致協力して輸出を促進していく」などと設立の趣旨を説明した。
農林水産省食料産業局の山田英也輸出促進グループ長は「畜産物は大事な品目と考えている。動物検疫の交渉も行なっており、輸出できる国がどんどん広がる。国もジェトロと協力しながらサポートしていきたい」などと述べた。
【日本畜産物輸出促進協議会の設立総会であいさつする中央畜産会の南波利昭副会長】

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