鶏肉相場「年内は強気」予想 輸入物への警戒感も 食鳥協理事会

(一社)日本食鳥協会(芳賀仁会長)は9月11日に理事会を開き、平成25年度の事業の実施状況や、国産鶏肉市場活性化対策事業への取り組み、TPP交渉の経過と対応などについて協議したほか、「国産チキンまつり」などの実施を決めた。また、辞任した川畑満英副会長の後任に、上須田清理事(マルイ食品(株)社長)を選任した。
国産鶏肉市場活性化対策事業については、これまでの調査と課題抽出を踏まえ、(1)「安全・安心」をシンボル化し、消費者と流通関係者に浸透させる(2)国内市場における国産鶏肉の消費拡大を図る(3)国産鶏肉の消費量5%アップの目標達成を目指す――などの方向性の下で引き続き検討していくことにした。
鶏肉の需給動向については、各部会から次のように報告された。
▽生産加工部会=7~8月は猛暑の影響で生鳥の体重が乗らず、2.65~2.7キログラム台となり、農場での管理によって成績にバラツキがみられた。山梨県と九州では猛暑、北海道と東北では気温差により1万羽単位の熱死が発生した。岩手県と山口県では台風や集中豪雨の影響で、処理場や加工場への避難勧告、農場での浸水被害などが報告された。
夏場は不需要期であるため、5~10%の減羽を自主的に実施したり、体重減退による供給減で出荷を10%減らしたインテもあったため、鶏肉の需給は締まり、在庫は少く、むね肉の販売も好調。加工品では中国産への不安感から国産へのシフトが進み、国産鶏肉のタイトな需給にも影響していると思われる。
今年のむね肉相場は堅調に推移し、相場はもも肉、むね肉合計で800円を超えてきたが、加工品は中長期の視点で価格を決めるため、むね肉相場の価格水準では高くてなかなか販売できず、インテの採算は相変わらず厳しい状況が続いている。9月からは天候も順調で、増体は回復しているが、種鶏の脚弱が多く、需要期での種卵不足が懸念される。
▽荷受部会=最近になって生鳥の体重もだいぶ回復し、九州では農場によって3キログラム台の鶏も出てきている。むね肉の販売は相変わらず順調だが、もも肉もここに来て冷凍物が動き出している。副産物は手羽元の動きが相変わらず悪く、レバーは夏の需要期が終わったため、産地などで廃棄されるとみられる。
年内は荷が余ることはないとみられるが、ブラジル産もも肉でキロ300円を切る現物が出てきたり、先物でも10~15%くらい価格を下げている。このため国産もも肉の価格が上がり、ブラジル産もも肉との価格差が広がると、量販店はブラジル産もも肉を解凍して売り始めるのではないか。そうなると国産も楽観できない。
東日本よりも西日本、関西地区の方が荷が足りない状況である。クリスマス用の骨付きもも肉は国産にかなりシフトしているため、足りなくなるのではないか。
▽小売部会=夏場はあまりの暑さで、生肉の販売は不振であったが、肉にパン粉やバジルを付けた半加工品はかなり伸びた。6~8月は重量ベース、売り上げベースとも前年に比べて良かったところが多かった。
気になるのは、ホテルなどから国産もも肉のカット物ではなく、ブラジル産限定でやってほしいという要望が出てきたことである。価格と規格の面で、ブラジル産に切り替えてほしいという要求である。生産の方でも非常に苦労されていると思うが、エンドユーザーにとって魅力ある製品を作っていただきたい。

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