再生可能エネルギー利用で勉強会 太陽光や鶏糞発電学ぶ JEPA

(般社)日本鶏卵生産者協会(略称・JEPA、緒方忠浩会長)は5月9日、東京都千代田区のホテルモントレ半蔵門で再生可能エネルギー利用勉強会を開いた。
冒頭あいさつした緒方会長は「我々が思いもしなかったエネルギー問題が、経営のリスクとしてとらえられるようになってきた。これに対して何ができるのか、本日の勉強会で学習してほしい」などとし、3人の講師を紹介した。
秋田善祺政策担当副会長が、来賓として出席した筒井道隆農林水産副大臣と山田正彦前農相を紹介し、筒井副大臣は「農林漁業と農山漁村における再生可能エネルギーは、現在の総発電量の43%に相当するポテンシャルがある」、山田前農相は「今年7月から再生可能エネルギーの全量買い取り制度が始まり、電力会社が20年間、固定価格で買い取るため、これから弾みがつくのではないか」とあいさつした。
勉強会では、農林水産省食料産業局再生可能エネルギーグループの信夫隆生グループ長が「再生可能エネルギーをめぐる情勢について」、(株)青森ポートリー特別顧問で東京海洋大学の毛利邦彦客員教授が「畜産にかかわる先進的取り組み」、(株)ハイテムの安田勝彦社長が「分散型鶏糞発電」と題して講演した。
信夫グループ長は、再生可能エネルギーの全量買い取り制度での今年度の買い取り価格(1kWh当たり、税込み)について、家畜排せつ物を(1)ガス化して発電するメタン発酵ガス化バイオマスは40.95円(2)燃焼して発電する廃棄物系(木質以外)バイオマスは17.85円――とし、「今年度中に施設を施工・設置して発電を始めると、この価格で20年間買い取る。価格は毎年度見直すが、最初の3年は利潤に配慮して設定し、4年目以降は制度の見直しを含めて再検討する」と説明した。
参加者からの「鶏糞を燃焼させて発電した電力の買い取り価格が17.85円では低すぎて、採算が合わないのではないか」との質問には、「調達価格等算定委員会では事業者が示したコストや利潤などを踏まえて買い取り価格を設定しているが、鶏糞発電は取り組み事例が少なく、直接的なヒアリングは行なっていない。これから事例が増えてデータが集まれば、鶏糞発電の区分ができる可能性もある」と答えた。
毛利教授は「太陽光と風力は自然変動電源といわれ、発電量と電力需要がなかなか一致しないが、バイオマスは365日、同じ出力で発電できるため、再生可能エネルギーの中で最も安定した電力供給源であり、太陽光とバイオマスを組み合わせると、さらに安定したものになる。バイオマスはエネルギーの蓄電池のような役割を持っているため、再生可能エネルギーはバイオマスの技術にもっと特化していくべきではないか」とした。
また、青森ポートリーが実施している八木農場での太陽光発電の概要を紹介したほか、今年度はメガソーラー事業に取り組むことにも触れ、「養鶏は悪臭などの様々な問題があるため、環境にやさしい事業を進めることは重要であり、消費者や近隣住民の理解を得る良いチャンスになる」などと強調した。
安田社長は、鶏糞をガス化燃焼させて発電する分散型鶏糞発電の概要を説明し、「3年前に開発された低圧蒸気発電機を組み合わせたプラントを関東地区の採卵養鶏場に建設中で、今年秋から稼働する予定である。燃料となる鶏糞をガス化させ、約1000度Cで燃焼、低圧水蒸気(約8キログラム/平方センチメートル、火力発電で使用する水蒸気圧の15分の1~30分の1)でスクリュー型タービンを回して発電する。鶏糞をガス化する段階で悪臭が分解されるため臭いは出ず、鶏糞の灰だけが残るシステムである。
鶏糞の水分は、鶏舎の廃熱を利用したハイテムセコノブで一昼夜のうちに15%まで落とす。ハイテムセコノブによる鶏糞の乾燥コストは1羽当たり年間25円で、エアパイプ(同30円)並みのコストで鶏糞の水分が15%まで落ち、さらに2500~2800キロカロリーの熱量を持つ燃料が得られる。
鶏糞の灰は、化学肥料のリン成分の補給や、酸性土壌のpH調整剤として利用できる。鶏糞に混ぜる場合、発酵前に混ぜると温度が上がって発酵が促進される反面、窒素分が飛ぶ傾向があるため、発酵した後に混ぜた方がよいのかもしれない。いずれにしても、灰の流通先を早めに考えておくことが必要で、灰を上手に販売することが採算を良くするポイントになる」などと述べた。
分散型鶏糞発電のメリットとしては、(1)臭いを出さない(2)周辺の環境にやさしいクリーンな養鶏場になる(3)化石燃料を使用しない④鶏糞の処理から発電まで農場内で完結できるため、鳥インフルエンザを含むバイオセキュリティの強化につながる――を挙げたほか、電事法(電気事業法)によるボイラータービン主任技術者の選任、発電用ボイラーの規格、廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)による鶏糞の廃棄物対象などの規制緩和や、鶏糞のガス化燃焼発電を対象とした電力買い取り価格の設定が必要だと指摘した。
日本養鶏協会とJEPAでは、再生可能エネルギーの鶏糞発電による電力の買い取り価格を牛・豚主体のバイオマス化と同等の扱いとするよう農水省に要請した。