AI移動制限 三重、奈良、宮崎で解除 千葉は4月15日予定

高病原性鳥インフルエンザ(AI)の発生による家きんなどの移動制限措置が、三重県南伊勢町(県内2例目)で3月28日、奈良県五條市と宮崎県門川町(県内13例目)で3月29日にそれぞれ解除された。
今回のAI発生によって、三重県では紀宝町と南伊勢町の2農場で約31万羽、奈良県では五條市の1農場で約10万羽、宮崎県では宮崎市(3事例)、新富町、都農町(2事例)、川南町、延岡市(2事例)、高鍋町、高千穂町、門川町(2事例)の13農場で約102万羽の鶏が殺処分された。
千葉市若葉区の採卵鶏農場とブロイラー農場で発生した事例では、鶏の殺処分や農場の消毒などの防疫措置が3月24日に完了した。発生農場や周辺農場で新たな発生がなければ、4月15日午前0時に移動制限措置が解除される予定。
高病原性鳥インフルエンザは、3月に千葉県で2事例が確認されてから報告がなく、関係者は感染がこれ以上拡大しないことを願っている。ただ、依然として警戒を続けなければならない。
農林水産省がこれまでに発表している疫学調査チームの調査結果では、野鳥やネズミなどの害獣対策の不備を指摘する内容となっている。
1月から3月まで、断続的に13事例が確認された宮崎県では、県内数か所でハヤブサやオシドリなどからH5N1ウイルスが検出されているが、防鳥ネットに隙間があるなどとして野鳥の侵入の可能性を示唆したのは1例目、3例目、7例目、8例目、10例目、11例目、13例目など。ネズミの侵入の可能性を示唆したのは1例目、3例目、4例目、6例目、7例目、9例目、10例目、11例目、12例目、13例目など。
大分県の事例では、鶏舎(高床式開放型)の金網は直径約5センチ、和歌山県の事例では、発生鶏舎は直径約4センチで、その外側をカーテンで覆っていたが、いずれも金網の目が大きいため「小鳥の鶏舎への侵入や、側壁下部の隙間からのネズミの侵入は可能と考えられた」としている。
愛知県の2つの事例では、野鳥や小鳥の侵入の可能性は低いが、ネズミなどの出入りが可能な隙間があったとしている。
三重県は、平飼いウインドレスのブロイラー舎と、セミウインドレスの採卵鶏舎の2事例で、特に採卵鶏舎では衛生対策を徹底していたものの、鶏舎内でクマネズミを見かけたり、周辺でスズメ、カラス、ハクセキレイなどが認められたとしている。
奈良県の事例では、ウインドレス鶏舎で、野鳥が侵入できないようになっていたが、ネズミの駆除対策をしていた結果かどうか分からないものの、鶏舎内でネズミの死体を確認したとのこと。同県生駒市ではオシドリの死骸からAIウイルスが確認されている。
千葉県の1例目の採卵鶏農場では、金網(直径約3センチ)の上をカーテンで覆い、さらに防鳥ネットが張られていたが、防鳥ネットに隙間があり、「小鳥の侵入は可能と考えられ、調査時に鶏舎内にスズメが数羽確認された」とのこと。2例目のブロイラー農場では、通気口に金網(直径約3センチ)はあったが、防鳥ネットなどはなく、舎内にはネズミの侵入跡とみられる穴が側面や天井に多数認められたとしている。
AIウイルスの農場・鶏舎への侵入防止のためには、(1)人や車両、野鳥や野生動物、飲用水や飼料汚染からの遮断(2)鶏舎内外の整理・整頓・清掃を行なってネズミや野鳥の繁殖場所をなくす(3)飼養管理では作業衣、靴などの取り替えと消毒の徹底――などが重要になる。

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