資本提携を解消 伊藤忠飼料と中部飼料

将来的には業務提携の解消も視野に

伊藤忠飼料㈱(本社・東京都江東区)と中部飼料㈱(本社・名古屋市)は5月20日、資本提携の解消と業務提携内容の変更を発表した。

伊藤忠飼料と伊藤忠商事㈱、中部飼料は2015年7月31日付で資本業務提携について公表。具体的には伊藤忠飼料、伊藤忠食糧㈱、伊藤忠商事の3社が、中部飼料に資本参加(普通株式211万1400株、発行済み株式数の6.95%)するとともに、伊藤忠飼料が49%、中部飼料が51%を出資して、みらい飼料㈱を設立。販売面では伊藤忠飼料と中部飼料が個々に行ないつつ、製造面で業務提携し、みらい飼料の八戸、石巻、門司、志布志の4工場で飼料を共同生産してきた。

しかし、事業環境の変化を踏まえ、今後の業務提携のあり方を協議した結果、従前通りの形態でみらい飼料を継続するよりも、今後はそれぞれが独自の経営戦略を推進することがより望ましいとの結論に至り、①資本提携については、当初の役割を果たしたと判断し、伊藤忠商事、伊藤忠食糧、伊藤忠飼料が保有する中部飼料の全株式を売却する方法で解消する②業務提携については、中部飼料との共同生産事業の対象を、みらい飼料の八戸工場1か所に変更する――ことで合意した。

また、みらい飼料が保有する4工場のうち、石巻、門司、志布志の3工場の生産事業を承継する新会社「株式会社I・フィード」を5月下旬に設立し、伊藤忠飼料が新会社の全株式を8月2日に取得して完全子会社化する予定。

みらい飼料は八戸工場で、従来と同じ枠組みで中部飼料との共同生産事業を継続するが、伊藤忠飼料と中部飼料は2023年9月以降、中部飼料が保有するみらい飼料の全株式を伊藤忠飼料に譲渡する方法で共同生産事業を解消できる権利を有しており、将来的には業務提携全体の解消を検討している。

伊藤忠飼料が完全子会社化する新会社の概要は次の通り。

社名=株式会社I・フィード(予定)▽所在地=東京都江東区亀戸2-35-13▽代表者=代表取締役社長 児玉卓哉(予定)▽事業内容=配合飼料の製造▽資本金=1億円(予定)▽工場所在地=石巻工場(宮城県石巻市)、門司工場(福岡県北九州市)、志布志工場(鹿児島県志布志市)

中部飼料は「今回の資本提携の解消と業務提携の変更にかかわらず、当社が独自路線を堅持する方針に変化はなく、今後も当社は、消費者が求める良質な畜水産物の国内生産を支え続ける飼料加工メーカーとして、特性ある飼料の開発、製造の推進という成長戦略を実行してまいります」とコメントしている。

また、中部飼料は5月20日に取締役会を開き、普通株式の売り出しを決めた。これは資本提携の解消を受けて、伊藤忠商事や伊藤忠飼料、伊藤忠食糧が保有する同社の株式売却が合意されたことと、一部の株主が株式売却の意向を示したことから、普通株式278万株を売り出すもの。