3R推進で農林水産大臣賞 キユーピーグループ
卵殻の付加価値化と社会貢献に挑戦
キユーピー㈱とキユーピータマゴ㈱は、長年続けている卵殻の付加価値化と社会貢献への挑戦で「令和元年度リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰(3R推進功労者等表彰)」の農林水産大臣賞を受賞した。
同表彰はリデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再資源化)に率先して取り組み、継続的な活動を通じて顕著な実績を上げている個人、グループ、学校、事業所、地方公共団体などの活動を奨励し、循環型社会の形成推進を図ることを目的としている。
キユーピーグループは、社会に対するグループの貢献価値を定量的に測る指標としてサステナビリティー目標を設定し、「資源の有効活用と持続可能な調達」を掲げている。同表彰の受賞は昨年に続き2回目。
今回受賞したテーマ「卵殻の資源化:付加価値の探求と国境を越えた社会貢献への挑戦」では
①キユーピーグループは日本の鶏卵生産量の約10%(1年間で約25万トン)を使用。卵殻は1年間で約2.8万トン発生し、廃棄すると環境へ多大な負荷が掛かるため、1950年代から卵殻を土壌改良剤(肥料)として農家へ販売。さらに卵殻の価値探究を行なう専門的な研究体制を作り、食品原料、飼料、建築資材、工業製品などにも活用を広げている。
②近年は東京農業大学応用生物科学部(辻井良政教授、加藤拓准教授)と共同で、卵殻の肥料としての価値を研究。現在までに水稲に卵殻を施肥すると米の品位が向上すること、水稲の耐暑性を高めるため猛暑時でも収量を維持できることが分かってきた。米の作付面積は日本の耕地面積の中で最も大きいため、将来的にはキユーピーグループだけでなく、日本全体の卵殻を有効活用できると期待している。
③ベトナムのハノイ国立栄養研究所との共同研究では、卵殻カルシウム(食用微細化卵殻粉、炭酸カルシウムを主成分とする生体素材)がヒトの骨量を増加させることを確認。卵殻は高齢化で世界的に課題となる骨粗しょう症の解決に貢献できる素材で現在、ベトナムでは卵殻カルシウムを配合した栄養強化食品の販売と合わせ、学校や病院への認知啓発と提案を進め、子どもの体格向上と高齢者の骨粗しょう症への課題解決に取り組んでいるq――ことなどが評価された。