2018年の食中毒は事件数、患者数とも増加
アニサキス1位、カンピロ2位に
厚生労働省は3月13日、東京都港区のTKP新橋カンファレンスセンターで薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会(部会長=五十君靜信東京農業大学教授)を開き、2018(平成30)年の食中毒発生状況を報告した。
18年の食中毒事件数は前年比316件増の1330件、患者数は818人増の1万7282人で、事件数、患者数とも前年を上回った。患者数が500人以上の事例は、①京都市の621人(6月28日、事業所〈当該施設で調理・販売された食事〉、不明、ウエルシュ菌)②広島市の550人(12月11日、仕出屋、不明〈12月10~12日に製造された給食弁当〉、ノロウイルス)――の2件。
死者が発生した事例は、①北海道の1人(4月22日、家庭、イヌサフラン、植物性自然毒)②北海道の1人(7月12日、家庭、イヌサフラン、植物性自然毒)③三重県の1人(9月11日、家庭、ニセクロハツを家庭で調理した食品、植物性自然毒)――の3件3人(前年3件3人)。
病因物質が判明した事例のうち、事件数が最も多かったのはアニサキスの468件(前年比238件増)、次いでカンピロバクター・ジェジュニ/コリ319件(同1件減)、ノロウイルス256件(同42件増)、植物性自然毒36件(同2件増)、腸管出血性大腸菌(VT産生)32件(同15件増)、ウエルシュ菌32件(同5件増)の順。患者数が最も多かったのはノロウイルスの8475人(同21人減)、次いでウエルシュ菌2319人(同1099人増)、カンピロバクター・ジェジュニ/コリ1995人(同320人減)、サルモネラ属菌640人(同543人減)、アニサキス478人(同236人増)の順。
原因食品・食事が判明した事例のうち、事件数が最も多かったのは魚介類の414件(同218件増)、次いで複合調理食品77件(同26件増)、肉類およびその加工品65件(同4件増)、野菜よびその加工品34件(同7件増)、魚介類加工品26件(同14件増)の順。患者数が最も多かったのは複合調理食品の2124人(同578人増)、次いで魚介類1209人(同740人増)、肉類およびその加工品451人(同187人減)、魚介類加工品420人(同353人増)、野菜およびその加工品216人(同79人減)の順。卵類およびその加工品は事件数1件(同1件減)、患者数39人(同35人増)であった。
原因施設が判明した事例のうち、事件数が最も多かったのは飲食店の722件(同124件増)、次いで家庭163件(同63件増)、販売店106件(同58件増)、事業場40件(同17件増)、旅館31件(同8件減)の順。患者数が最も多かったのは飲食店の8580人(同573人増)、次いで仕出屋2682人(同1077人増)、事業場1959人(同1336人増)、旅館1266人(同586人減)、学校1075人(同1600人減)の順。
都道府県別では、事件数は東京都185件(同54件増)、北海道104件(同40件増)、神奈川県97件(同34件増)。患者数は東京都1917人(同710人減)、京都府1140人(同777人増)、北海道951人(同298人増)の順に多かった。
月別では、事件数は4月が162件(同97件増)、患者数は12月が2318人(同671人増)で最も多かった。