英国のコンパートメント主義認める 農林水産省・家畜衛生部会

農林水産省の食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会は3月25日、英国で高病原性・低病原性の鳥インフルエンザ(AI)が発生した際の「コンパートメント施設」からの種鶏初生ひなの輸入について、1月28日の同部会家きん疾病小委員会で了承されたことを受け、「認めることは適当である」と答申した。
OIE(国際獣疫事務局)は2005年に、AIが発生した地域内でも、高度な衛生管理を行ない、清浄性が確保されていることが認められた施設から出荷されるひなの輸入を認めるコンパートメント主義を規定した。英国はこれに基づいて09年に、厳格な標準作業手順書(SOP)に基づき、平時から高度なバイオセキュリティ対策を講じている家きん育種企業を「コンパートメント」、同企業の施設を「コンパートメント施設」として認定する枠組みを世界に先駆けて策定。13年3月には、AI発生時でも、英国が認定したコンパートメント(現在はエビアジェン社のみ認定)からの種鶏初生ひなの輸入を認めてほしいと日本に要請してきた。
農水省では、肉用原種鶏の約90%を英国に依存しており、海外からの種鶏の輸入を安定化させることは、わが国の食料安定供給の観点からも重要だとして、英国の現地調査を行ない、これを認めることによるAIの侵入リスク評価を行なった結果、「英国のスキームに基づいて認定したコンパートメント施設からの輸入を認めても、AIに感染した種鶏(初生ひな)が輸出され、わが国にAIが侵入するリスクはきわめて低い」と評価し、昨年11月に家畜衛生部会に諮問していた。
具体的な導入・適用に当たっては、AIが発生していない時に、英国が認定したコンパートメントを日本が評価・認定する(企業単位で認定)ほか、必要に応じて施設の査察や各種の情報提出を求める権限を日本が持つことを条件に、①英国で高病原性AIが発生した場合は、いったん同国全土(低病原性の場合は発生州)からの輸入を停止する②AIが一般の農場で発生し、制限区域内にコンパートメント施設が入っていない場合は、英国から提供される情報に加え、EUが制限区域の範囲を承認した時に、コンパートメントを構成するすべての施設からの輸入再開を認める③一般農場でのAI発生でも、制限区域内に一つでもコンパートメント施設が入った場合は、制限区域内の施設が、EUや日本のAI防疫指針における移動制限除外規定の要件や、英国のコンパートメントスキームの要件を満たせば輸入再開を認める④AIがコンパートメントを構成する施設で発生した場合は、コンパートメント主義を適用した輸入再開は認めず、通常のAI発生と同じく、清浄性が確認され、防疫措置完了後90日を経過した時に輸入再開を認める。

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