成鶏更新・空舎延長事業 25年1月も発動対象に 農水省生産局長が承認

農林水産省生産局は12月6日、(社)日本養鶏協会から要望されていた鶏卵生産者経営安定対策事業の来年1月の『成鶏更新・空舎延長事業』について、対象にすることを承認した。

約52億円の国の助成を得て(社)日本養鶏協会が事業主体になって進めている鶏卵生産者経営安定対策事業は、『鶏卵価格差補てん事業』が異常な低卵価によって、8月で生産者積立金の財源が枯渇し、その後は打ち切りになった。この補てん事業には約40億円の国の補助金が使われた。
日々の標準取引価格が安定基準価格(158円)を下回った場合に発動となる『成鶏更新・空舎延長事業』は、10万羽未満規模の参加者に1羽200円、10万羽以上規模の参加者に1羽150円、処理を受け入れた成鶏処理場に1羽17.4円の淘汰奨励金が交付される。今年は5月21日から8月21日までの約3か月間の発動で、458万1000羽(10万羽以上規模が378万8000羽、10万羽未満規模が79万3000羽)が参加し、約8億円が使われた。
この結果、鶏卵生産者経営安定対策事業の予算残は約4億円。生産者団体は、卵価が低迷し、基金創設以来40年以上経過の中で初めて年内、しかも8月で財源が枯渇となったこと、さらに飼料価格の高騰もあり、鶏卵生産者の経営は極めてひっ迫しているとし、原則として制度の対象月から外している1月も成鶏更新・空舎延長事業の対象にするよう、強く国に求めていた。
鶏卵相場は11月に入り本格的な寒さが到来したことや、加工筋の手当て増から、M加重で東京は230円、大阪は220円まで回復した。12月上旬段階では保ち合い状態を続けているが、例年、慣例的には年末相場から70~80円落ちが1月の初市相場となり、1月早々に158円の安定基準価格割れは必至とみられるため、限られた予算を有効活用しての成鶏更新・空舎延長事業の発動は、相場の下支え効果が大きいと期待されている。
今年の鶏卵止市は12月27日(木)、来年の初市は1月7日(月)。

コメントを残す