北日本養鶏研究大会開く 震災からの復興を祈念
東北6県と北海道の養鶏関係者が毎年、持ち回りで開催している「北日本養鶏研究大会」と「鶏病研究会北海道・東北地区技術研修会」が8月30日、青森市のウエディングプラザ・アラスカで開かれた。昨年は3月に発生した東日本大震災で中止したため、2年ぶりの開催で、養鶏関係者や鶏病関係者ら約300人が参加した。
養鶏研究大会は、開催県となった青森県養鶏協会の布施久理事の司会で進められ、佐々木健副会長の開会の言葉に続いて、歓迎の言葉を述べた石澤善成会長は「青森県も、近年にない猛暑が1か月以上続いているが、米の生育は良い。昔はくず米で鶏を飼っていたが、今は飼料用米の生産量も全国で一番多い。今年は卵価が安く、猛暑で卵も小さいが、参加された皆さんにとって、有意義な大会になることを期待している」とした。
主催者を代表して(社)日本養鶏協会北日本地域協議会の米山大介会長は、大会開催に尽力した関係者に謝意を表するとともに、昨年の東日本大震災で被害を受けた養鶏関係者にお見舞いを述べ、「今回の大会を『東日本大震災復興祈念』大会と位置づけ、養鶏生産者・関係者が心を一つにして復興に邁進する決意を新たにする大会としたいと考えている。大会に参加された皆さんがますます発展し、そして震災からの一刻も早い復興がなされることを祈念している」とあいさつした。
来賓を代表して青森県の三村申吾知事と日本養鶏協会の竹下正幸会長が祝辞を述べた。三村知事は「東北の経済の要となっているのは一次産業で、一次産業が元気になると、地域も元気になり、活気が出てくる。そのためには、生産した農畜産物を国内外にきっちりと売っていく必要がある。県では『攻めの農林水産業』を目指し、積極的な販売促進活動の展開や、6次産業化と農商工連携による『食』づくりに取り組んでいる。
特に養鶏分野は、夏季冷涼な気象条件や、八戸飼料穀物コンビナートの立地などの優位性を背景に、全国有数の主産地となっている。しかも、鶏卵・鶏肉の生産から加工、流通、さらには配合飼料工場や関連産業に多くの雇用を生み出すなど、本県農業の重要な基幹部門である。卵についても、こめ米をはじめいろいろなタイプの卵や加工品があり、いかに販売していくが重要になっている」とし、「青森にはおいしいものや観光スポットもたくさんある。東北各県からこの大会に参加された皆さんは、この機会に青森を楽しんでほしい」などと歓迎した。
竹下会長は、昨年度から実施している鶏卵生産者経営安定対策事業の補てん事業を担う関係2承認法人を今年10月を目途に統合すると説明するとともに、「昨年度は補てん月が8か月と長期に及び、さらに今年4月以降も補てんが継続する低卵価状況となり、5月下旬には、成鶏更新・空舎延長事業も発動した。この事業については補助額の増額、補助率の引き上げのみならず、生産者の視点に立って仕組みの見直しを行なうことが必要で、行政当局などへの働きかけが必要となっている。
TPP(環太平洋経済連携協定)への参加についても、養鶏生産者として看過できないものがある。単に関税の撤廃という問題ではなく、鶏卵にかかわる各種の生産資材に伏在する極めて大きな内外価格差の存在を放置して参加の議論をするのは論外と考えている。
日本養鶏協会としても、養鶏産業の一層の経営安定を図るため、養鶏生産者の一致結束した力によって、これらの課題に取り組み、解決したい」と述べた。
記念講演では、福岡県で美容サロンを経営する(有)バグジーの久保華図八社長が「逆境に強い経営」、日本養鶏協会の島田英幸専務が「鶏卵業界の組織再編と今後の養鶏産業の目指す方向」について講演した。
「東日本大震災復興祈念に関する特別決議」を青森県養鶏協会の山本弥一監事が提案し、満場一致で採択。今後関係筋に要請することにした。
来年の開催県となる平尾勝徳北海道養鶏会議会長が「開催に向けて全力で努力し、皆様をお待ちする。北海道の豊かな自然や人とのふれあいも楽しんでほしい」とあいさつし、青森県養鶏協会の坂本佐兵衛副会長の閉会の言葉で大会を終えた。
【東北6県と北海道の養鶏関係者約300人が出席した「北日本養鶏研究大会」】