鶏ふん量を20%減らす配合飼料『UNK』 JA全農北日本くみあい飼料が販売

産卵率は変化なく、飲水量も減少

JA全農グループのJA全農北日本くみあい飼料㈱(守江寛社長―本社・仙台市宮城野区宮城野1-12-1)は、鶏ふん量が約20%減る採卵鶏用配合飼料(くみあいUNKシリーズ。略称『UNK』)を開発。昨年から試験を実施しながらテスト販売し、今春から東北6県で本格販売を始めたが、反響は大きく、現在では採卵鶏用配合飼料の10%以上を『UNK』が占めるまでになっているとのこと。

鶏糞低減飼料「くみあいUNK」シリーズのUNKとは『Useful,Nature-Kind』の略で〝便利で自然に優しい〟という意味を持たせている。

JA全農北日本くみあい飼料では、北東北の鶏卵生産者とのやり取りの中で「産卵成績や飼料摂取量は変わらずに、鶏ふんが減るエサがあると良い」との要望を受け止めて、JA全農飼料畜産中央研究所と技術情報を交換しながら、その技術を現場で活用しやすく応用し、東北地域の飼料原料事情や、工場の製造体制、提案できる配合飼料の価格レベルなどを考えて、独自に開発したのが鶏ふん低減配合飼料『UNK』。

同社がまとめた野外データによる『UNK』給与実態の成績は次の通り。

《A農場》
約3万5000羽の赤玉鶏に、鶏ふん低減飼料『UNK』を試験給与したA農場では、産卵率、食下量には大きな変化はみられなかったものの、飲水量は『UNK』に切り替えた途端に顕著に低下した【図1】。鶏ふん量については、『UNK』給与から1か月間毎日計測し、通常飼料給与区と比較した結果、『UNK』試験区の鶏ふん量は安定して少なかった。1か月間のデータを平均すると、『UNK』区の鶏ふん量は20%少ない結果となった【図2】。高い鶏ふん低減効果が確認できたことから、A農場では、その後複数の鶏群にも『UNK』を給与したが、いずれの鶏群でも飲水量の顕著な低下がみられる一方で、産卵率などの成績への悪影響などはみられなかった。

《B農場》
約3万5000羽の白玉鶏への給与試験を行なったB農場では、『UNK』切り替え前と、切り替え後の1鶏舎分の鶏ふんの写真をダンプに積んだ状態で撮ってもらったが、『UNK』切り替え後の鶏ふん量が減少していることが明確に分かった。産卵率や卵質にも大きな変化はなく、鶏ふん発生量の減少に大きなメリットを感じたB農場では継続して『UNK』飼料の給与を継続している。

《C農場》
約5万羽の白玉鶏に対して鶏ふん低減飼料『UNK』を試験給与したC農場の切り替え前と切り替え後の産卵成績は【表1】の通り。産卵率については変わりなく、春に気温が高くなって食下量が低下したためか、卵重はやや小さくなった。鶏ふん量は、切り替え前の114グラムに対し、『UNK』切り替え後は83グラムとなり、27%減少したことになる。A農場と同様に、飲水量の減少も顕著であるが、汚卵率の減少も注目されている。これは、飲水量の減少によって軟便を抑え、鶏ふんが硬くなることと関係している可能性がある。

《D農場》
約1万5000羽のピンク卵鶏で給与試験を実施したD農場の成績は【表2】の通り。産卵率は、切り替え前の90.1%に対し、『UNK』切り替え後は88.9%。卵重は、切り替え前の67.7グラムに対し、『UNK』切り替え後は67.8グラムで、日齢の経過に伴う自然な産卵率の低下の範囲で、『UNK』給与による産卵成績への影響はみられなかった。鶏ふん量は、切り替え前の138グラムに対し、切り替え後は103グラムで、25%の鶏ふん低減効果を示していた。

同社の鶏ふん低減配合飼料『UNK』は、北東北を担当する八戸工場と、南東北を担当する石巻工場の両方から供給可能とのこと。

使用した生産者からは「使い始めて鶏ふんがすぐに変わり、鶏ふん量が20%は減っている」「飲水量も明らかに減り、鶏ふんもベチャベチャしない」「鶏ふん量の減少でコンポの稼働時間も減らすことができ、電気代の節約にもなった」「寒いと発酵が遅かったが、鶏ふんの水分が少ないためか、冬でもいつものように発酵が進む」「トラックに積む鶏ふん量が減ったので、トラックの燃費が良い」「何も言わなかったのに農場職員が『最近何か変えました?』と気づいた」「産卵率や卵重、卵殻強度など、その他の卵質は全く変化していない」などのうれしい声が聞かれるとのこと。

同社では「お試しいただいたお客様の、ほとんどの方が効果を実感し、価格は従来品より高いものの、継続して使っていただいている。採卵鶏用の飼料は、各生産者によって、たんぱく質のレベルや、鶏卵の卵黄色、ビタミン強化などのレベルが異なるため、多くの種類がある。現在の鶏ふん低減配合飼料『UNK』は、まだこれらの種類のうち、代表的な組み合わせのものを先行して供給しているが、今後はさらに生産者の要望を聞き、個別に相談しながら種類を増やしていきたい」としている。

問い合わせ、相談は同社営業部(電022-792-8043)の江崎、鈴木の両氏へ。