飼養衛生管理基準の順守徹底を 家畜衛生主任者会議
農林水産省は4月25日、東京都港区の三田共用会議所で都道府県の家畜衛生担当者らを集めて平成31年度家畜衛生主任者会議を開き、今年度の家畜衛生に関する施策などを説明した。
冒頭あいさつした吉川貴盛農相は、昨年9月から岐阜・愛知両県で発生が相次いでいる豚コレラ対策や、中国・モンゴル・ベトナム・カンボジアで発生が確認されたアフリカ豚コレラと水際検疫対策の強化、畜産物の輸出促進などの話題にふれて「この会議で今年度の家畜衛生の基本方針を共有するとともに、お互いに顔の見える関係を構築し、いざという時にはオールジャパンで対応する体制がさらに強化されることを期待している」などと述べた。
動物衛生課の熊谷法夫課長は、家畜衛生をめぐる情勢(国内は豚コレラ対策、海外はアフリカ豚コレラが中心)、海外での疾病の発生状況と国際協力、農場生産性向上への対応、畜産物の輸出促進、畜産物の安全確保などの所管事項について説明した。
家畜衛生をめぐる情勢のうち、国内の豚コレラ対策では野生イノシシへの経口ワクチン散布、豚コレラ症例集の提示、野生動物を含めたサーベイランス体制の整備、飼養衛生管理基準順守の徹底などを挙げた。アフリカ豚コレラと水際検疫体制の強化については「アフリカ豚コレラはものすごいスピードで周辺国に広がっており、特にベトナムでの発生報告数の増え方は目覚ましいものがある。中国から日本に持ち込まれた豚肉製品から、感染力のある生きたウイルスが見つかったため、水際対応として探知犬の導入、罰則適用の厳格化、国内外のSNSでの配信や航空機内でのアナウンスなどに取り組んでいる」とした。
畜産物の輸出促進については「これからも積極的に取り組んむ中で、海外の輸出相手先が日本に現地調査に来ることもあるため、施設と行政が一体となって受け入れに協力していただきたい」とした。畜産物の安全確保については「農場HACCPの認証農場数が伸びている。徐々に浸透し、ようやく花が咲いたと思っている」と述べた。
動物衛生課の担当官からは、同課の組織と31年度予算、国内での豚コレラ対策、生産性向上に向けた家畜衛生対策、越境性疾病の発生状況、アフリカ豚コレラウイルスなどの侵入防止策の強化に関する関係省庁との連携、OIEアジア・極東・太平洋地域総会、畜産物の輸出に関する環境整備、農場HACCPについて報告された。
畜水産安全管理課の所管事項を説明した石川清康課長は、動物用医薬品などの承認プロセスの改善について「引き続き日米欧の枠組み(VICH)に基づき国際調和を図りつつ、新しい製造技術や科学的知見を反映した規制の見直しにより、承認審査の迅速化などに取り組んでいきたい」とした。
薬剤耐性(AMR)対策については「生産現場での抗菌剤の慎重使用、抗菌剤の使用機会の低減に資するワクチンや代替資材の実用化などの対策を進めてきた。適切な感染症の予防対策は、抗菌剤の慎重使用にとっても極めて重要な要素の1つであるため、薬剤耐性対策の観点からも飼養衛生管理基準の順守徹底をお願いしたい」などと述べた。
畜水産安全管理課の担当官からは、畜産物の安全性確保、牛トレーサビリティ制度、獣医師と獣医療の提供、薬剤耐性(AMR)対策、飼料の安全性の確保などについて報告された。
このほか動物検疫所、農研機構動物衛生研究部門、動物医薬品検査所、(独)農林水産消費安全技術センター、経営局保険監理官から、それぞれの施策が報告された。