食鳥処理場における緊急時集出荷・処理で再協定を締結
日本食鳥協会・東北支部の14社
(一社)日本食鳥協会の東北支部(支部長=小山征男㈱オヤマ社長)は11月22日、岩手県盛岡市のホテルメトロポリタン盛岡で「食鳥処理場における緊急時集出荷・処理ネットワークに関する協定」の再協定締結式を開き、東北支部の会員14社の代表者らが出席した。
「食鳥処理場における緊急時集出荷・処理ネットワークに関する協定」は、鳥インフルエンザ(AI)や自然災害の発生によって、食鳥処理場が稼働不能または業務停止となった緊急時に、支部会員相互の応援と協力によって食鳥処理事業を円滑に推進するための協定。平成28年12月1日に県境を越えた13社が全国で初めて協定を締結したが、昨年春に1社が加入し、14社となったことから、このほど再協定を締結した。
同協定では、緊急時に食鳥処理の依頼や受け入れを迅速に行なえるように、各処理場ごとの処理状況、施設、作業などをオープンにして、相互の連携・協力体制を構築する。具体的には同協定の責任者、工場ごとの1日当たり・1時間当たり処理羽数、処理にかかわる人員、受託できる時間、輸送かごのサイズ、トラックへの積み込み段数と高さ、トラックスケール、工場搬入ヤードの高さ、ひさしまでの高さ、待避場の有無、輸送かごの洗浄方法、洗浄機の機種、車両消毒方法などの情報を共有化する。
同協定に参加する14社(18処理工場)の処理羽数は1億6723万羽(青森県4014万羽、岩手県1億1221万羽、宮城県・福島県1488万羽)で、全国の24.3%を占める。
締結式では、岩手県チキン協同組合の英強常務理事が協定の概要を説明し、日本食鳥協会東北支部の小山征男支部長が協定書を各社の代表者に手渡した。
あいさつした小山支部長は「今回の再協定締結は、万が一の際に被害を最小限にしていくことが目的である。AIは依然として国外で発生して、脅威である。9月の北海道胆振東部地震のように自然災害も多発している。それらに少しでも備えていきたい。さらに各社はAIウイルスの侵入防対策を取っているが、最新のAI研修により新たな気持ちで、侵入防止対策に取り組んでほしい」などと述べた。
日本食鳥協会の佐藤実会長は「今年は台風や地震の被害が生産農場、処理場まで及んだ。生産が若干落ち込んだとはいえ、輸入増と需要の停滞から価格が思うように伸びていない。年末までに需要が拡大すればと思っている。緊急時の防疫体制に各支部ごとに取り組んでいるが、東北支部が最も先を行っている。今回を機にしっかり防疫体制を組んでほしい。今年の協会の海外研修で英国のエビアジェン社を視察したが、ネズミ、昆虫、小鳥などの侵入対策を徹底していた。各国ともAI対策は共通である」などとあいさつ。来賓として出席した岩手県農林水産部畜産課の菊池伸也総括課長が祝辞を述べた。
締結式の終了後には、大阪府立大学大学院生命環境科学研究科の向本雅郁教授が「最近の鳥インフルエンザについて~食鳥処理場における対策~」と題して講演した。