食料支出総額は当面横ばい わが国の食料消費の将来設計
農林水産省は8月30日に「わが国の食料消費の将来設計(2019年版)」を公表した。
これは、人口減少や高齢化の進展、ライフスタイルの変化などを踏まえ、2015年国勢調査による将来推計人口、家計調査などのデータを用いて、わが国の将来の食料消費(食料支出、食の外部化など)について分析したもの。
1人当たり食料支出および食料支出総額の将来設計では「1人当たり食料支出は、加工食品の支出割合の増加などにより、今後拡大すると見込まれる一方、今後、人口減少が進むことにより、1人当たり食料支出の伸びを相殺し、食料支出総額は、当面はほぼ横ばい、長期的には縮小すると見込まれる」としている。
食の外部化については「内食から中食への食の外部化が一層進展し、食料支出の構成割合が生鮮食品から付加価値の高い加工食品にシフトすると見込まれる。特に、今後シェアが高まる単身世帯で、外食、生鮮食品からの転換により、加工食品のウエイトが著しく増加すると見込まれる」と予測。
2015年の生鮮食品、加工食品、外食の食料支出額をそれぞれ100とすると、2040年は生鮮食品は11%減るが、加工食品は32%、外食は13%伸びる見込みとなっている。これに、人口の推移を加味した食料支出総額でみると、2040年の11%の伸びを維持するものの、生鮮食品は25%、外食は5%の減少見込みとなっている。
また、品目別食料支出割合(全世帯)の推計では「穀類、魚介類、肉類、野菜・海藻、果物、酒類、外食の割合が低下する一方、乳卵類、油脂・調味料、菓子類、調理食品、飲料の割合が増加する見込み」で、この結果から「食料消費行動の変化に即して、これまで輸入品のシェアが高かった加工・業務用需要を、今後取り込んでいかなければ、国産畜水産物の市場規模は縮小する懸念がある」としている。