約32億円分の鶏肉買い上げ 米国農務省が新型コロナ対応で
米国農務省農業マーケティング局(USDA-AMS)は5月4日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による市場混乱への対応として、鶏肉を含む32食品を合計4億7000万ドル分買い上げると発表した。
32食品のうち、買い上げ枠が最も大きいのは、乳製品の1億2000万ドル。このほか畜産物では七面鳥製品が5000万ドル、鶏肉製品は豚肉と同じ3000万ドル(1ドル107円換算で約32億円)相当。これを受けて米国の食鳥協会に当たるナショナル・チキン・カウンシル(NCC)のマイク・ブラウン会長は同日、ソニー・パーデュー農務長官への謝意を含むコメントを発表した。
米国では、本紙前号既報の通り、COVID-19の発生に伴う食肉処理場の閉鎖が相次ぎ、川下のスーパーや一部のファストフードチェーン向けの製品が不足したほか、川上でも農家が家畜や種卵の淘汰を余儀なくされるなど、フードチェーン全体に悪影響が拡大。飲食店の休業により、牛乳や野菜の大量廃棄も報じられる中、農業各団体は4月上旬から、農家への支援を求めていた。
農務省はこれに対応し、トランプ大統領が4月17日に発表した190億ドル規模の農家向け補償を含めた各種の施策を順次運用しているもの。購入した食品は、米国のフードバンクや必要な家庭、学校などに配布される。同施策による買い上げの総枠は48億9000万ドルあり、年度内に繰り返し実施していくとみられる。