石灰散布機『ZEST』 農機メーカーのタイショーが販売

軽トラに取り付け 農家の負担減り防疫強化に

バッテリー稼働でムラなく散布。荷台に消石灰を積んでおけば補充もスムーズ

散布時は車内からボタンを押すだけ。石灰が肌に付いたり目に入るのを防げる

農業機械メーカーの㈱タイショー(矢口重行社長―本社・茨城県水戸市)は、養鶏場の鳥インフルエンザ対策に効果的で、軽トラックに取り付けられる石灰散布機『ZEST(ゼスト)』の本格販売を始めた。

使い方はシンプルで、ゼストを軽トラックや軽ダンプ、1.5トントラックなどの荷台に固定し、運転席からスイッチを入れて時速2~3キロ程度でゆっくりと走行するだけ。電源は車載のバッテリーから取れるため、車で走れる場所ならどこでも消石灰(水酸化カルシウム)を散布できる。

ゼストにはタイショーが得意とする肥料・薬剤・融雪剤散布の技術を取り入れ、特殊振動板とロータリー繰り出し機能で粉詰まりを防ぎつつ、効率的かつ均等な散布(散布幅1~1.2メートル)を実現した。

作業者は車内にいるため、消石灰が皮膚に付いたり、目に入ったりするリスクも下げられる。工具いらずで分解・洗浄できるほか、女性や、高齢スタッフでも荷台に載せられるようネジジャッキ式のスタンド(補助器具/別売り)も用意した。

同社開発部の井坂博道氏は開発経緯について、「相次ぐ高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)や、豚熱対策などによって畜産現場の負担と不安は増し続けている。産地の皆さまは家畜伝染病を何とか防ごうと、重いものでは20キロ入りの消石灰を運び、スコップでまき、それを均等にならす作業を行なってきた。私たちは生産者へのヒアリングを進め、当社の散布技術は防疫の高度化と省力化に必ずお役に立てると考え製品化した」と話す。

今年1月から段階的に販売してきた中で、東日本の大手採卵鶏農場や、西日本の鶏肉インテなどがゼストを導入。ムダ・ムラを省いた散布によって、1回当たりの消石灰使用量が60袋から50袋(約83%)まで減ったとの声も聞かれるという。

同社では養鶏業界に向けて「これからの季節は雨で消石灰が流れやすく、限られた人員で何度もまき直すのは本当に大変。ゼストを使って、風の強い日はより楽に、炎天下でもエアコンをかけて安全に作業してほしい。防疫業務の時間と労力が軽減されることで、皆さまが生産・流通により集中できる環境になればと思う。ゼストは養豚業界にも提案する機械のため、(養鶏場がHPAI対策を強化する)秋以降になると注文が集中し納品が遅れる可能性もある。早めの問い合わせをいただければありがたい」と呼びかけている。

稼働の様子は同社ホームページやQRコードから確認可能。詳細は次の通り。

▽商品名=石灰散布機『ZEST(ゼスト)ZP-90Y』

▽機体寸法=幅1.3メートル×奥行き74センチメートル×高さ67.5センチメートル

▽機体重量63キロ

▽容量90リットル(消石灰の場合20キロ/約2~3袋分/荷台から補充可能)

▽電源=12Vバッテリー(車載バッテリーで稼働)

▽散布幅=1メートル~1.2メートル

▽税込み希望小売価格33万5500円

問い合わせはタイショー環境事業部(電0800-919-4032)へ。