球状の生ワクチン『ノビリスIB 4-91 SPH』発売 取り扱い簡単で作業効率向上 MSDアニマルヘルス

MSDアニマルヘルス㈱(本社・東京都千代田区)は、今年から新しい球状の生ワクチン製剤「SPH(スフェレオン)」を順次上市する予定で、その第1弾となる鶏伝染性気管支炎生ワクチン『ノビリスIB 4-91 SPH』がこのほど発売されることから、特約店を対象としたウェブ説明会を1月22日から24日にかけて開催した。

スフェレオンは、MSDアニマルヘルスが独自に開発した新しい凍結乾燥技術により、従来の生ワクチンを小さな粒状の凍結乾燥物にしてアルミカップに包装した製品。特徴的な形状の「SPHERE(球体)」から「SPH(スフェレオン)」と名付けた。

スフェレオンの開発プロジェクトは1998年に始まり、2001年に技術が開発され、当初はオランダのボックスメアで試験生産し、EUで試験的に先行販売した。その後、大規模に販売できるようスペインのサラマンカに生産拠点を移し、完全自動化されたシステムにより、コンタミや人為的ミスが生じないような施設で球状ワクチンを製造している。

今回、日本国内で発売する『ノビリスIB 4-91 SPH』は、従来のガラスバイアル製品「ノビリスIB 4-91」に比べて次のような特徴がある。

①コンパクトで扱いやすいパッケージ=包装がアルミカップになることで、廃棄のかさを減らすことができる(アルミカップの廃棄方法は各自治体に確認)。

②取り扱いが簡単、省スペースで保管可能=軽量なアルミカップに梱包されているため、コンパクトに収納できる。大容量品のスフェレオン製品を使うことで、冷蔵庫のスペースを節約できる。

③簡単で安全に開けられる=スフェレオンのアルミカップのふたは簡単に開けられるため、ガラスバイアル製品を開ける時のように手を怪我するリスクが軽減する。

④ワクチンの準備時間を短縮できる=スフェレオンは水中でアルミカップを開ける必要がないため、調製時のコンタミを避けることができる。また③で触れた通り開封が簡便で、今回ワクチンを開けてから溶解し終わるまでの時間を測定したところ、準備も含め、従来のガラスバイアル製品に比べ、作業性は20%以上の向上が認められた。

⑤ガラスバイアル製品と同等の効果=IB4-91強毒株の攻撃試験により、フェレオンは従来のガラスバイアル製品と同等の防御効果を示した。

ウェブ説明会で同社ポートリー&アクアカルチャー事業部テクニカルサービスの小田枝里奈氏は、スフェレオンについて「アルミカップにワクチンの球体がいくつも入っている。ガラスバイアル製品でも観察されるように、ワクチンの種類によってスフェレオンの色にも違いが生じる。スフェレオンは真空密閉されていないが、ガラスバイアル製品と全く同じ安定性を示す。ロットごとに1球体に含まれるウイルス量に幅があるため、1カップ当たりのウイルス量が各規格に合うように球体数を調整しており、ワクチンの種類ごと、ロットごとに球体数にバラツキがある」などと説明した。

『ノビリスIB 4-91 SPH』は、1000ドーズ入りと、5000ドーズ入りの2種類。

高田健次ポートリー&アクアカルチャー事業部長は「スフェレオンは取り扱いが簡便で、省スペースで保管できる画期的な製品となっており、従来品と比較して廃棄物の減少に大きく寄与できると考えている。MSDアニマルヘルスは2016年から、スフェレオン製剤の売り上げの一部で植林活動に協力しており、インド、ザンビア、ブラジル、タンザニアで合計12万本以上の植林をしてきた。これからも環境責任と、二酸化炭素排出量削減への取り組みの一環として、この活動を継続していく」と述べた。

問い合わせは同社(電03-6272-1099)へ。