国際的な需給は緩和 DDGSの需要拡大に期待示す

穀物需給で説明会 アメリカ穀物協会

来日した穀物生産者らは来場者からの質問にも答え、米中貿易戦争の影響については、それほど多くないとの見通しを示した

アメリカ穀物協会(浜本哲郎日本代表)は1月17日、東京都港区の赤坂インターシティコンファレンスホールで、米国産トウモロコシの需給展望などを説明する会議を開き、日本の商社や食品、飼料メーカーの担当者ら約100人が出席した。

開会あいさつを予定していたアメリカ大使館農務部のゲーリ・マイヤー農務担当公使は、米国政府の一部機関が閉鎖されたため欠席し、アメリカ穀物協会グローバルプログラム担当上級ディレクターのケアリー・シフェラス氏が、昨秋収穫した2018/19穀物年度の新穀の品質について報告。同協会のジム・スティッツレイン会長が「トウモロコシ需給展望と米国産新穀見積もり」の演題で講演した。

スティッツレイン会長とシフェラス氏、同協会エタノール・北アジアマーケティング担当ディレクターのティム・ティアニー氏、来日した米国のトウモロコシ生産者3人によるパネルディスカッションも、浜本代表の進行で実施した。

シフェラス氏は、生育期の天候が良かったことから過去最高の単収となった新穀の品質試験結果について、1ブッシェル当たり平均重量は前年度と同じ58.4ポンド、破損粒と異物の割合は前年度比1ポイント減の0.7%、総損傷率は同0.2ポイント増の1.5%、乾物ベースのたんぱく質含量は同0.1ポイント減の8.5%、でんぷん含量は同0.2ポイント増の72.5%、水分は同0.6ポイント減の16.0%、油分は同0.1ポイント減の4.0%となったと説明。収穫時のカビ毒検査結果についても、過去2年間とほぼ同レベルだったことを報告した。

スティッツレイン会長は、世界のトウモロコシ在庫が増加していることや、直近のFOB輸出価格はブラジル産が最も高くなっていること、大豆ミールに対する米国産DDGSの価格競争力も、中国の輸入減によって高まっていることを説明。

DDGSの価値は、可消化アミノ酸含量やリンなどの栄養価の高さを考慮すると過小評価されているため、正確な栄養価を把握して適切に活用してほしいと強調し、米国産トウモロコシやDDGSの販売について「現在は価格競争力があり、皆様のビジネスを拡大する良い機会と考えている。日本との長期的な関係に感謝しており、質問があれば喜んでお答えさせていただく」と述べた。

パネルディスカッションでは、イリノイ州トウモロコシマーケティング委員会ディレクターのジム・レイベン氏、ミネソタ州トウモロコシ研究・促進協会副会長のスコット・ウィンスロー氏、ミシガン州トウモロコシマーケティングプログラム委員長のトム・デュランド氏が、それぞれの農場や家族を紹介。

各氏は、土壌を守るための不耕起栽培や、熱損傷などの品質劣化を抑える乾燥・保管などの取り組み、生産量1ブッシェル当たり1セントを集めるミネソタ州トウモロコシ研究・促進協会のチェックオフ制度、運転がGPSやコンピューターにより自動化されたトラクターやコンバイン、農地の状況をモニタリングするためのドローンの活用例などを紹介し、レイベン氏は「自分たちが取り組んでいる農業に誇りを持っており、高品質のトウモロコシを生産する農場を持続可能な形で子どもや孫の世代に残していきたい」と述べた。

中国との貿易戦争による米国産大豆の輸出停滞が、作付けに与える影響についてデュランド氏やウィンスロー氏は「トウモロコシの作付けが若干増えるかもしれないが、多くの生産者は単収減を避けるために、大豆とトウモロコシのローテーションを守るだろう」と述べ、レイベン氏も自身の農場について「これまでのローテーションから今年はトウモロコシの生産が多くなるが、すでに種子は購入している」とした。スティッツレイン会長も同様の見方を示し、中長期的な穀物需給見通しについても楽観視していると述べた。