卵を乳幼児が最初に食べる食品に推奨 米国の食事摂取基準諮問委員会

アメリカン・エッグ・ボード(AEB)が運営する米国鶏卵栄養センター(ENC、ミッキー・ルービン所長)は7月15日、『米国人の食事摂取基準(Dietary Guidelines for Americans)』の諮問委員会が「卵を乳幼児が最初に食べる食品に」推奨したと発表した。

発表内容によると、諮問委員会は6月末、『米国人の食事摂取基準(2020~25年版)』の作成に活用する科学的なデータをまとめたレポート(Scientific Report、全835ページ)を、米国農務省(USDA)のソニー・パーデュー農務長官と同保健福祉省(HHS)のアレックス・アザール長官に答申。その中で同委員会が、史上初めて「生後24か月までの乳幼児の栄養について推奨を出し、特に卵を乳幼児と妊婦、授乳中の母親に重要な食品として推奨」したとのこと。児童や青少年にも、積極的な摂取を推奨している。

この理由について同委員会は、乳幼児の卵アレルギーの発症を抑える目的のほか、脳の発達に不可欠な「コリン」が卵に豊富な点を強調。コリンを「すべての米国人が不足している重要な栄養素」に分類し、特に妊婦の92%は、「コリンの摂取推奨量を満たしていない」と指摘している。

アレルギーについては「最新の研究では、生後4~6か月の時期に卵を食べさせ、成長とともに卵アレルギーを起こす可能性を減らしていくことが推奨されている」とし、「卵は健康な人生の基礎づくりに役立つ、8つの必須栄養素の供給源として重要な、乳幼児が最初に食べる食品」と評価。

乳幼児以外についても「卵は、どの年代やライフステージの健康にも貢献する栄養の宝庫。筋肉や骨の成長、脳の発達などに有用な、たんぱく質、コリン、リボフラビン(ビタミンB2)、B12、ビオチン(B7)、パントテン酸(B5)、ヨウ素、セレンなどの死活的に重要な栄養素の供給源となる」とし、すべての米国人に不足しているため公衆衛生上の課題となっている「ビタミンD」の供給源になることにも触れている。

さらに同委員会は、食事由来のコレステロールは心配する必要がないことについても、科学的根拠を補完したとのこと。その上で「卵とコレステロールについては、既に強固な科学的知見が積み重ねられており、多数の科学的根拠(研究)が、卵の摂取と心血管疾患に相関がないことを示している。実際、30年分以上のデータを評価した最近のハーバード大学の研究(本紙4月15日号既報)では、そのことが再確認されている。米国心臓協会などの主要な関連機関も、『卵は心臓の健康に役立つ食品』としている」と紹介している。