卵の摂取をやめない方がアレルギーの予後は良い
国立成育医療研究センターが発表
国立成育医療研究センター(五十嵐隆理事長、東京都世田谷区)のアレルギーセンター(大矢幸弘センター長)のグループは、鶏卵の長期完全除去が6歳時の鶏卵アレルギーに影響するかを食物経口負荷試験(OFC)で調査し、この論文が小児科学の国際英文雑誌(Frontiers in Pediatrics)に掲載された。
同センターの研究によると、卵の完全除去を継続していた子ども(13人)のうち、6歳時に鶏卵アレルギーが改善したのは8%のみで、92%は鶏卵アレルギーが持続していた。一方、卵を完全に除去しなかった子ども(30人)では、卵アレルギーが改善した割合が53%に上った。
このことから、アレルギー検査が陽性だからといって、卵を完全除去するのではなく、医師の指導の下で部分解除や経口免疫療法により卵の摂取を完全に排除しない方が、鶏卵アレルギーの予後が良いと考えられると結論づけたもの。
研究発表者のコメントでは「完全除去で待っていれば自然にすべての子どもの鶏卵アレルギーがよくなるわけではありませんでした」「2歳までのオボムコイドIgE抗体価で調整しても、6歳までの長期間の鶏卵完全除去により鶏卵アレルギーが持続するリスクは14.5倍と有意に上昇することが分かりました」「皮ふや血液のアレルギー検査陽性だけで食物 アレルギーを正しく診断することはできません。検査値陽性だけを理由に完全除去するのは推奨されません。部分解除や経口免疫療法を行なって完全除去しない方が、鶏卵アレルギーの予後が良いと考えられます。ただし、保護者の自己判断で鶏卵を子どもに食べさせるとアナフィラキシーなどを生じるリスクが高くなります。食物経口負荷試験などによる医師の適切な指示の下で必要最小限の除去を行ない、保護者の自己判断により自宅で食べさせないよう注意が必要です」としている。
同センターは、経口免疫療法などによるアレルギー物質の微量摂取の研究を継続し、成果を随時発表しており、2017年の日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会による「生後半年からの微量摂取」「安易に卵を避けないこと」などを骨子とする提言や、19年の『授乳・離乳の支援ガイド』内の卵を与えるべき月齢の7~8か月頃から5~6か月頃への改訂などにつながっている。