供給量をさらに上方修正、輸出は依然堅調 米農務省の10月農産物需給予測月報
米国農務省(USDA)は10月12日、同月の農産物需給予測月報(WASDE)を公表した。収穫中の21/22年度米国産トウモロコシと大豆については、供給量を前月に続いてさらに上方修正し、期末在庫率がトウモロコシは0.6ポイント、大豆は3.1ポイント改善した。シカゴ相場も一時下落したが、その後反発。輸出を中心とした需要も底堅く、昨年以前との比較では1ドル以上高騰した状況が続いている。
トウモロコシの期末在庫率10%台を回復
20/21穀物年度の米国産(旧穀)については、供給面では前月予想から収穫面積を20万㌶、1エーカー当たり単収を0.6ブッシェル、生産量を7100万ブッシェルそれぞれ下方修正し、輸入量も100万ブッシェル引き下げ2400万ブッシェルとしたため、総供給量は7200万ブッシェル減少(トウモロコシ1万ブッシェル=約254トン)。需要面でも飼料その他向けを1億2800万ブッシェル、エタノール向けを300万ブッシェル下方修正し、輸出量を800万ブッシェル上方修正したため、総消費量は1億2100万ブッシェル減少。この結果、同年度の期末在庫と21/22年度の期初在庫が4900万ブッシェル増えた。
21/22年度の米国産(新穀)については、供給面では前月予想から単収を0.2ブッシェル、生産量を2300万ブッシェル上方修正し、2016年に次いで史上2番目に多い150億1900万ブッシェルとした。期初在庫の増加分と合わせて総供給量は7200万ブッシェル上方修正し162億8000万ブッシェルとなった。需要面では飼料向けを5000万ブッシェル下方修正し、輸出量を2500ブッシェル上方修正した。食品など向けも500万ブッシェル上方修正したため、総消費量は2000万ブッシェル減少し、期末在庫は9200万ブッシェル増加。期末在庫率は前月予想より0.6ポイント上昇し、依然低水準ではあるが10%台を回復した。平均農家販売価格は前月予想を据え置いている。
世界全体の需給予測については、20/21年度の総生産量を前月予想から161万トン下方修正し、ブラジルの輸出量も200万トン下方修正。中国の輸入量は200万トン上方修正した。
21/22年度は、中国の在庫を200万トン上方修正したことなどで、世界全体の期初在庫は351万トン上方修正。ウクライナの生産量は100万トン下方修正したが、世界全体の飼料向け使用量も308万トン下方修正し、期末在庫は前月予想より411万トン多い3億174万トンとなった。
大豆の期末在庫率3.1ポイント上昇
20/21穀物年度の米国産については、供給面では収穫面積を30万エーカー、単収を0.8ブッシェル、生産量を8100万ブッシェル上方修正。需要面では搾油量を100万ブッシェル、輸出量を500万ブッシェル上方修正し、同年度の期末在庫と21/22年度の期初在庫は8100万ブッシェル増えた(大豆1万ブッシェル=約272トン)。
21/22年度産については、前月予想から単収を0.9ブッシェル、生産量を7400万ブッシェル、搾油量を1000万ブッシェル上方修正。期初在庫の増加分と合わせて期末在庫は1億3500万ブッシェル増えた。期末在庫率は前月予想より3.1ポイント上昇。平均農家販売価格は55㌣下方修正し12ドル35セントとなった。
世界全体については、20/21年度は総生産量を199万トン上方修正し、使用量を250万トン下方修正、期末在庫は408万トン増えた。21/22年度はアルゼンチンの生産量を100万トン下方修正したが、米国や中国の在庫増や米国の増産などが寄与し、期末在庫は前月予想から568万トン増え1億457万トンとなった。
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シカゴのトウモロコシ相場(12月限)は、WASDE発表翌日の13日午前中に5ドル割れの直前まで下値を試す展開となったが、10月27~28日現在は5ドル60セント前後まで反発。6ドル台を超えた今年5~6月の水準に比べると値下がりしているが、昨年以前の水準と比べると依然、1ドル以上高い。
大豆相場(1月限)は13日午前中に一時12ドル台を割り込む水準まで値を下げたが、28日現在は12ドル50セント前後まで買い戻されている。今年前半の最高値に比べると2ドル90セント前後低いが、昨年以前の先物価格の水準からは2ドル以上高い水準が続いている。