世界の飼料生産量はASFの影響で減少 オルテック世界飼料調査

2019年は1%減の11億2600万トン

オルテック社(マーク・ライオンズ社長兼CEO)は、1月27日に「2020オルテック世界飼料調査」の結果を公表した。

2019年の世界の飼料生産量は、アフリカ豚熱(ASF)の発生と、アジア太平洋地域で養豚用飼料の生産量が減少した影響を大きく受けて、前年比1%減の11億2600万トンになったと推定している。

145か国、約3万か所の飼料工場から集めたデータを分析した世界の飼料生産量の内訳は、ブロイラー用28%、養豚用24%、採卵鶏用14%、乳牛用12%、肉牛用10%、その他畜種用6%、水産養殖用4%、ペット用2%となっており、採卵鶏用、ブロイラー用、水産養殖用、ペット用が増加した。

飼料生産量の上位9か国はアメリカ、中国、ブラジル、ロシア、インド、メキシコ、スペイン、日本、ドイツ。この9か国に世界の飼料工場の57%が存在し、58%の飼料を生産している。

ライオンズ社長は「2019年は飼料業界にとって非常にチャレンジの多い年となった。最も影響が大きかった事象の一つがASFの発生・拡大で、世界全体の飼料生産量は減少している。疾病発生の影響を大きく受けた国々では養豚用飼料の生産量は減少しているが、その他の畜種向け飼料は他の動物性たんぱく質を提供するために増加し、また影響を受けていない国々でも輸出の急増に伴い増加している。ASFの影響が長期的なものになると、不足に対応しようとする業界の動きにより、主要なたんぱく源の構成は引き続き変化していくと予想する」とコメントしている。

地域別の調査結果

▽北米=アメリカの飼料生産量は世界最多の2億1400万トンと試算され、主な対象畜種は肉牛用6190万トン、ブロイラー用4853万トン、養豚用4486万トン。北米地域では昨年に引き続いて増加し、その成長率は1.6%であった。カナダの飼料生産量は2160万トンで、養豚用823万トン、ブロイラー用325万トン、乳牛用420万トンが主な対象畜種であった。

▽南米=南米の飼料生産量は2.2%増加して1億6790万トンの試算。ブラジルは南米でナンバーワンの地位を維持し、世界でも第3位に入った。主にブロイラー用3210万トン、養豚用1700万トンが目立っている。ブラジル、メキシコ、アルゼンチンの3か国で南米の76%を生産している。

▽ヨーロッパ=ヨーロッパは前年比0.2%の増加にとどまり、生産量は比較的横ばいであった。この地域で生産量が多い国はロシア(4005万トン)、スペイン(3480万トン)、ドイツ(2500万トン)で、これら3か国とも養豚用が最も多かった。同地域では乳牛用、肉牛用とも生産量がそれぞれ4%、3%減少したとみられるが、水産養殖用の7%増と採卵鶏用の3%増により相殺されている。

▽アジア太平洋地域=2019年は主にはASFの発生と養豚用飼料生産量の大幅減により5.5%減少した。中国の飼料生産量は約2000万トン減の1億6790万トンとなり、世界最大の飼料生産国の座を米国に譲り渡し、世界2位となった。インドと日本は飼料生産量の上位9か国以内にとどまり、2018年とあまり変わりのない結果となった(それぞれ3900万トンと2530万トン)。一方でベトナムは前年比7%減となった。

▽アフリカ=飼料生産量は7.5%増で、主要畜種向けは軒並み増加した。アフリカの75%を南アフリカ、エジプト、ナイジェリア、モロッコ、アルジェリアの上位5か国で生産している。主な畜種はブロイラー用、採卵鶏用、乳牛用で、これらの合計が全体の半分ほどを占めていた。

畜種別の調査結果

▽養豚用=飼料生産量はASFの発生の影響を大きく受け、11%減となった。養豚用飼料生産をけん引するのは引き続きアジア太平洋地域であったが、その総量は前年に比べ26%減少し、中国35%減、カンボジア22%減、ベトナム21%減、タイ16%減と大幅に減少した。ヨーロッパ、北米、南米の生産量は比較的横ばいで推移し、増減はいずれも1%以内であった。一方、アフリカは生産規模が大きくない地域であるが、その成長幅は他地域と比べて最大で29%にもなった。

▽養鶏用=飼料生産量はブロイラー用(1億1520万トン)と採卵鶏用(7310万トン)ともにアジア太平洋地域が世界最大であった。南米ではブロイラー用飼料の生産量が6080万トンを記録したが、これにはブラジル(3210万トン)とメキシコ(1050万トン)が貢献している。メキシコの採卵鶏用飼料の生産量は11%増加して705万トンになり、ブラジルを抜いた。

ヨーロッパでのブロイラー用飼料の生産(5630万トン)では、ロシアが最大で1086万トン、採卵鶏用飼料の生産(3350万トン)でもロシアが最大で530万トンを記録した。北米では、ブロイラー用飼料の94%に相当する4850万トンをアメリカで生産している。カナダの採卵鶏用飼料の生産量は前年に比べ46万トン増加した。

▽乳牛用=ヨーロッパが世界の生産量の34%を担っている。これに北米(21.8%)、アジア太平洋地域(17.6%)、南米(15.3%)が続く。ヨーロッパの生産量の上位国はトルコ(650万トン)、ドイツ(520万トン)、ロシア(420万トン)、英国(380万トン)、フランス(340万トン)、オランダ(330万トン)、スペイン(320万トン)。

▽肉牛用=引き続き北米が生産をけん引し、6230万トンを記録した。次いでヨーロッパ(2190万トン)、南米(1390万トン)が続く。今回の調査では、肉牛用飼料生産量の試算方法が見直され、精度が向上している。この新しい試算方法では、飼料の平均給与期間やフィードロットにおける体重を基準としてパーセンテージ換算した飼料摂取量が考慮されている。前年の試算もこれに合わせて再実施され、前年比がより正確に算出できるようにした。

▽水産養殖用=飼料生産量は前年比4%増となった。アジア太平洋地域が最も増加して150万トンであった。主に中国、ベトナム、バングラデシュの増加が寄与している。ヨーロッパの生産量が減少したのは、主にロシアの減少が影響しているが、これは主に同国への輸入量が増加したためである。

▽ペットフード=生産量は前年比4%増。大きく増加したのはアジア太平洋地域(10%)、ヨーロッパ(3%)、南米(6%)。国別では中国、インドネシア、ポルトガル、ハンガリー、エクアドル、アルゼンチンの増加が顕著であった。