トウモロコシ、大豆とも生産量が増加し需給緩和 米農務省9月穀物需給予測

価格も下落したが、以前高値続く

米国農務省(USDA)は9月10日、最新の農産物需給予測月報(WASDE)を公表した。今月の報告では冒頭に「9月10日までに入手できた情報からは、ハリケーン・アイダによる輸送や港湾の停止などの影響は一時的なものと推定される」とのただし書きを付けている。トウモロコシと大豆については、シーズン最後の降雨によって予想生産量が増えたことなどで、需給がやや緩和した。価格は、今年前半に比べるとやや下落したが、昨年以前との比較では高騰した状況が続いている。

トウモロコシ

20/21穀物年度の米国産(旧穀)については、前月予想からエタノール向けを4000万ブッシェル(トウモロコシ1万ブッシェル=約254トン)、輸出量を3000万ブッシェル下方修正したため、同年度の期末在庫と21/22年度の期初在庫が7000万ブッシェル増えた。

21/22年度の米国産(新穀)については、生産面ではシーズン最後の降雨が好影響し、前月予想から収穫面積を60万エーカー、1エーカー当たり単収を1.7ブッシェル、生産量を2億4600万ブッシェル上方修正し、総供給量は3億1600万ブッシェル増えた。需要面では飼料向けと輸出量が各7500ブッシェル上方修正されたが、期末在庫は1億6600万ブッシェル増え、期末在庫率は前月予想より1.0ポイント上昇した。平均農家販売価格は30セント下方修正し、5ドル45セントとしている。

世界各国の需給予測については、20/21年度は中国の飼料向け使用量を大豆ミールやマイロ・大麦などトウモロコシ以外の飼料原料の使用割合が高まっているとの推定から前月予想より300万トン下方修正、アルゼンチンの生産量を150万トン上方修正、ブラジルの生産量を100万トン下方修正。世界全体の生産量は170万トン、573万トン上方修正した。

21/22年度は中国の飼料向け使用量を国内・海外間のトウモロコシ価格のギャップが当面続くとの予測から前月予想より同300万トン上昇修正、アルゼンチンの生産量と輸出量を200万トン上方修正、ロシアの生産量を100万トン下方修正。世界全体の期初在庫は401万トン、生産量は500万トン、飼料向け使用量は300トン、期末在庫は901万トン上方修正した。

大豆

20/21穀物年度の米国産については、前月予想から搾油量を1500万ブッシェル(大豆1万ブッシェル=約272トン)下方修正したため、同年度の期末在庫と21/22年度の期初在庫が1500万ブッシェル増えた。

21/22年度産については、前月予想から収穫面積が30万エーカー下方修正されたが、単収は0.6ブッシェル、生産量は3500万ブッシェル上方修正。搾油量は2500万ブッシェル下方修正、輸出量は3500万ブッシェル上方修正し、期末在庫は3000万ブッシェル増えた。期末在庫率は前月予想より0.7ポイント上昇。平均農家販売価格は80㌣下方修正し12ドル90セントとなった。

世界の需給予測については、20/21年度は中国の輸入量を前月予想より200万トン、アルゼンチンの輸出量を150万トン上方修正し、世界の期末在庫も226万トン増えた。これにより21/22年度は中国の期初在庫が200万トン増え、米国の期末在庫も83万トン増えたことから、世界全体の期末在庫が274万トン上方修正された。このほか、インドが10月31日にGM大豆由来のミールの輸入を解禁することから、同国の大豆ミールの20/21年度の輸入量が前月予想より40万トン多い44万トン、輸出量が20万トン多い200万トン、21/22年度の輸入量が80万トン多い83万トンとなっている。

シカゴのトウモロコシ相場(12月限)は9月27日現在、5ドル35セント前後となっており、今年前半の最高値に比べると1ドル前後低いが、昨年以前の水準と比べると1ドル以上高い水準で推移している。大豆相場(11月限)は12ドル86セント前後と、今年前半の最高値に比べると1ドル60セント前後低いが、昨年以前の水準と比べると3ドル弱高い水準で推移している。