キユーピー「フレッシュストック」事業展開
低温向け『たまご商品』など開発
キユーピー㈱(長南収社長―本社・東京都渋谷区)は9月4日のオンライン会見で、新型コロナウイルス下の新たな食ニーズや、共働き世帯の増加に対応する「フレッシュストック」事業を始動させたと発表した。
消費者の買い物や調理行動が変化する中、賞味期間が長く、買い置きに向き、品質も維持できる商品群を強化する。同事業の柱は、スーパーの低温売り場向け①調味料②パッケージ総菜③たまご商品――で、各商品はキユーピーが企画開発し、グループ各社が販売する。
卵や鶏肉関係では、要冷蔵で賞味期間15日間の『そのままパクっと食べられるゆでたまご』、同4か月間の『あしたのお惣菜 揚げ物にあうソース タルタルソース』、同30日間の『同 チキンと3種豆のトマトソース煮込み』『同 チキンと豆のごま豆乳クリーム煮込み』をテスト販売中。
藤原かおり上席執行役員は新商品の『ゆでたまご』について「割らない、むかない、調理しないの〝レディ トゥ エッグ〟である。ゆで卵は家庭で簡単に作れるようで、案外手間がかかる。上手くスルっとむけるかというと、そうでないことも多く、調理機会が年々減っている料理の1つと言える。この商品を冷蔵庫にストック(買い置き)しておけば、そのままでも、料理のアレンジにも使える。白身はプリっと、黄身はちょうど良い半熟で、ほんのりとした塩味も評判が良い。首都圏のコンビニやスーパーでテスト販売しており、好調な実績で、流通企業様にも評価していただいている」と説明した。
フレッシュストック事業の本格始動は2021年春からで、24年までに売上高150億円規模に育成するとしている。
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キユーピーの長南収社長は、オンライン会見で要旨次のように述べた。
生鮮と中食売り場に新たな価値生み出す
キユーピーグループは多種多様な形で事業を進めてきたが、世の中は変化し、買い物も変化している。スーパーでの滞在時間を15~30分程度に短縮している方が全体の8割を占め、職場からの帰宅時に限定すると、おそらく15分程度が平均的と推測される。
また買い物の回数も減少している。未就学児を持つ働く女性では、平日の買い物は週に1回という方が4割もいる。お子様を保育園に預けて働きに出る女性にとって、買い物は非常に労力が必要で、できるだけ回数を減らしたいとの強いニーズがある。
現状を踏まえると、生鮮品売り場の周りですべて買いそろえたい方や、ストックできる食品へのニーズがさらに増えると予想される。
当社グループの商品でいうと、昨年、消費期限を業界初の加工日から5日間に延長したサラダクラブの『千切りキャベツ』は、生鮮食品でありながら、ストック型ショッピングのニーズに対応し、昨年上期との比較で20%ほど伸長できた。さらに、コロナ禍が新しい買い物ニーズを生み出し、店頭で買われる商品に変化が表れている。
1点目は『日持ち重視』。毎日買い物に行かずに済むことが重要になり、生鮮売り場の鮮度の高い食品に対しても、できるだけ日持ちする商品が好まれるようになった。
2点目は『生活必需品』。弊社の商品群において、ますます高く支持されているのは万能調味料であるマヨネーズと千切りキャベツである。
3点目は『買い物の合理化』。これまで日本における食品のEC(Eコマース、ネット通販)化率は2%台で頭打ちであったが、今回の新型コロナ感染拡大を受け、初めて食品をECで購入された方々も多く、これからもその動きは広く浸透するものと予想される。キユーピーもグループの総合力を生かし、ECの強化を図っていく。
私たちは生鮮売り場と中食売り場にストックという価値を生み出したい。愛は食卓にある――。この言葉を胸に刻み、新しい挑戦「フレッシュストック」事業を始めていく。