全農、トン約1250円値下げ 10-12月期配合飼料価格
値下げは5期ぶり
JA全農は9月17日、令和3年10~12月期の配合飼料価格について、飼料原料や為替の情勢を踏まえ、前期(令和3年7~9月期)に対し、全国全畜種総平均でトン当たり約1250円値下げすると発表した。値下げは昨年7~9月期以来、5期ぶり。商系メーカーや専門農協系も値下げする。飼料基金からの補てんは7~9月期、10~12月期とも発動される見込み。
今回の値下げは、トウモロコシと大豆かすの価格下落などが主な要因。改定額は地域別・畜種別・銘柄別に異なるが、大麦価格などの値上がりにより、肉用牛などの一部畜種・銘柄では値上げとなる。全農が発表した飼料情勢は次の通り。
▽飼料穀物=6月には660セント/ブッシェル前後で推移していたが、6月末に発表された作付け面積調査結果が市場予想を下回ったことや、高温乾燥による作柄悪化懸念などから、一時700セント/ブッシェル前後まで上昇した。その後、米国産地での天候改善による新穀収穫への期待感などから下落し、現在は520セント/ブッシェル前後で推移している。また、シカゴ定期に加算される内陸産地からの集荷コストなどは、米国産トウモロコシの期末在庫が減少している中で、端境期を迎えて需給が引き締まっていることから堅調に推移している。今後は、南米産の生産量減少により、中国向けを中心とした輸出需要が米国産に集中すると予想されることから、相場は底堅く推移すると見込まれる。
また、主に肉牛用飼料に使用される大麦の相場は、北米で発生した干ばつにより生産量が減少し、需給がひっ迫する見通しとなったことから、値上げとなる。
▽大豆かす=大豆かすのシカゴ定期は、6月には430ドル/トン前後であったが、米国産地で作付けが順調に進んだことや、その後も生育に適した天候となったことなどから下落し、現在は370ドル/トン前後で推移している。国内大豆かす価格はシカゴ定期の下落により値下げが見込まれる。
▽海上運賃=米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は、5月には60ドル/トン前後で推移していたが、堅調な穀物輸送需要や原油相場の上昇に加え、中国向け石炭輸送需要が増加していることから急騰し、現在は80ドル/トン前後で推移している。今後は、原油相場が高止まりしていることに加え、北米産新穀輸出が本格化することから、海上運賃は堅調に推移すると見込まれる。
▽外国為替=外国為替は、6月には109円前後で推移していたが、米国での順調な経済回復と金融正常化への期待感などから円安が進み、現在は110円前後で推移している。今後は、米国経済の回復に伴い量的緩和の縮小が予想されており、長期金利の上昇とドル高要因となるものの、新型コロナウイルス感染の再拡大による米国景気への影響も懸念されることから、一進一退の相場展開が見込まれる。