『食肉カッティング装置』を開発 セイホー

1台で切断、丸刃洗浄・研磨迄

鶏肉を押さえローラー㊨固定し、丸刃㊧で素早く切断

装置内の研磨機構では丸刃(中央下)の2つの砥石が挟み、磨き上げる

食品機械メーカーの㈱セイホー(尾野彰則社長―本社・群馬県館林市)は、このほど鶏肉加工ラインにも組み込める食肉切断機で、丸刃の研磨機構を備える『食肉カッティング装置』を開発したと発表した。

多くの食肉切断装置は丸刃を高速回転させてカットするが、1日1回は注油と研磨専用機(砥石)でのメンテナンスが必要になる。一方、セイホーの『食肉カッティング装置』は丸刃とその回転軸を磨くための研磨機構を標準装備するため、丸刃を同機構にセットすれば1台で洗浄・研磨まで行なえる点が最大の特徴【特許出願番号=特願2021-79970】

一対となった円形砥石が丸刃を挟み高速回転し、安全に、刃の切れ味が戻るように磨き上げる。

さらに加工ライン上の原料を正確に移動させる「移動機構」や、カット時に肉を傷付けず固定する「押さえローラー」にも新技術を採用。肉を切る瞬間は水蒸気を吹き付けて余分な油脂を除去するほか、研磨機構でも研磨くず除去のための水蒸気噴射が行なわれる。

食肉カッティング装置の開発者でもある尾野社長は「従来のカッティング装置は別売りの研磨機が必要で、作業者は2機を取り扱うため手間がかかっていた。丸刃を持ち歩く際に怪我をする人も多く、清掃業者からも敬遠されやすいことから、より安全な研磨と洗浄が求められていた」と指摘。

同装置は大手総菜工場の依頼を受けて開発したが、今後は鶏肉をはじめ、豚肉や牛肉の加工場にも提案していくとのことで、「鶏肉では年々『から揚げ』や『半加工品』の人気が高まっている。食品スーパーのセントラルキッチンなども総菜製造に特に注力しており、その前段階で活躍できる『食肉カッティング装置』は国産・輸入鶏肉を問わずお役に立てるかと思う」と話している。

尾野社長によると近日中に発売予定で、海外メーカー品(研磨機構付き)より4割程度安価に仕上げたいとのこと。税込み価格は900万円前後を予定する。詳細は㈱セイホー(電0276-74-3540)または尾野社長の携帯電話(090-3437-5366)へ。