全農、トン約5500円値上げ 4-6月期配合飼料価格

トウモロコシ、大豆かすの高騰と円安で

JA全農は3月19日、令和3年4~6月期の配合飼料価格について、飼料原料や為替の情勢を踏まえ、前期(令和3年1~3月期)に対し、全国全畜種総平均でトン当たり約5500円値上げすると発表した。5000円を超える値上げは平成19年1~3月期(5500円値上げ)以来14年ぶり。商系メーカーや専門農協系も値上げする。

今回の値上げの要因は中国による米国産穀物の大量買い付けと、南米産地の収穫の遅れに伴うトウモロコシと大豆かす価格の値上がり、米国のバイデン新大統領への期待感による円安など。改定額は地域別・畜種別・銘柄別に異なるが、トウモロコシと大豆かすの配合割合が大きい養鶏用飼料の値上げ幅は、全国全畜種総平均を上回るとみられる。全農が発表した飼料情勢は次の通り。

▽飼料穀物=トウモロコシのシカゴ定期は、12月上旬には420セント/ブッシェル前後であったが、その後、中国による米国産トウモロコシの大量成約や、生産量の減少により期末在庫率が減少したことに加え、南米産地で新穀の収穫が遅れていることなどを受けて高騰し、現在は540セント/ブッシェル前後となっている。また、シカゴ定期に加算される内陸産地からの集荷コストなどは、引き続き輸出需要が米国産に集中していることから、底堅く推移している。今後は、南米産地の作柄と米国産新穀の作付け時の天候に左右されるものの、期末在庫が低水準であることから、相場は堅調に推移するものと見込まれる。

▽大豆かす=大豆粕のシカゴ定期は、12月上旬には420ドル/トン前後であったが、米国農務省が1月に発表した需給見通しで、大豆の輸出需要が上方修正され、期末在庫率が歴史的な低水準となったことや、南米産地の乾燥天候による作柄悪化懸念などから高騰し、500ドル/トンとなった。その後、南米産地で新穀大豆の収穫が始まったことによりやや軟化しているものの、現在も450ドル/トン前後で堅調に推移している。国内大豆粕価格は、シカゴ定期が上昇していることから、値上がりが見込まれる。

▽海上運賃=米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は、11月には45ドル/トン前後で推移していたが、中国向けをはじめとした旺盛な穀物輸送需要や、世界的な寒波による石炭輸送需要の急増に加え、原油相場の急騰などにより上昇し、現在は60ドル/トン前後で推移している。今後は、南米産大豆の輸送需要が本格化することに加え、原油相場が上昇していることから、海上運賃は堅調に推移するものと見込まれる。

▽外国為替=外国為替は、12月には1ドル104円前後で推移していたが、バイデン新大統領による追加経済対策や、新型コロナワクチン普及などによる経済活動回復への期待感から円安が進み、現在は108円台で推移している。今後は、世界的な経済活動回復への期待感が高まっているものの、米国の金融緩和政策は継続することから、一進一退の相場展開が見込まれる。

配合飼料の価格改定と補てん状況