近づく渡り鳥飛来シーズン 鳥インフル対策の徹底を!

9月後半~10月の渡り鳥の飛来シーズンを迎え、養鶏業界にとっては鳥インフルエンザへの警戒が最重要となる。

わが国で79年ぶりに鳥インフルエンザが発生したのは平成16(2004)年で、1~3月に山口県、大分県、京都府の4農場、約41万羽で高病原性(H5N1亜型)が確認された。その後も

▽17年6月~18年1月に茨城県・埼玉県の41農場、約578万羽で低病原性(H5N2亜型)

▽19年1月~2月に宮崎県・岡山県の4農場、約17万羽で高病原性(H5N1亜型)

▽21年2月~3月に愛知県の7農場(ウズラ)、約160万羽で低病原性(H7N6亜型)

▽22年11月~23年3月に9県(島根、大分、宮崎、鹿児島、奈良、和歌山、愛知、三重、千葉)の24農場、約183万羽で高病原性(H5N1亜型)

▽26年4月と同12月、27年1月に5県(熊本、宮崎、山口、岡山、佐賀)の8農場、約46農場で高病原性(H5N8亜型)

▽28年11月~29年3月に9県(青森、新潟、北海道、宮崎、熊本、岐阜、佐賀、宮城、千葉)の12農場、約165.9万羽で高病原性(H5N6亜型)

▽30年1月に香川県の2農場、約9.1万羽で高病原性(H5N6亜型)――が確認された(関連農場の措置含む)。

近年は飼養衛生管理基準の順守や、実情に応じた迅速な防疫措置により、周辺農場には広がらず発生農場のみにとどまるケースが多い。最後の香川県での発生事例も、迅速な防疫措置により、わが国は平成30年4月15日付で、OIE(国際獣疫事務局)の定める高病原性鳥インフルエンザの清浄国に復帰している。

高病原性・低病原性鳥インフルエンザの発生経路は、渡り鳥が持ち込んだウイルスが川や池などの水辺で、他の野鳥やネズミなどの野生動物に付着して農場や家きん舎に持ち込まれるケースが多いとみられる。このため野生動物対策としての野鳥ネットや金網の設置・修繕、鶏舎壁の破損・隙間の修繕(集卵・除ふんベルトの開口部の隙間対策や排水溝などからの侵入防止)、家きん舎周囲の清掃、整理・整頓(樹木の剪定など)と定期点検が重要になる。

さらに、人や物(飲用水や飼料を含む)、車両によるウイルスの持ち込みを防ぐために、衛生管理区域、家きん舎への出入りの際の洗浄・消毒の徹底、衛生管理区域専用の衣服、靴、家きん舎ごと消毒と入場者らの記録などによって、リスクを減らす取り組みを徹底することが重要になる。