鳥インフル対策強化で通知 農林水産省
発生予防とまん延防止の強化要請
農林水産省消費・安全局は、9月24日付で都道府県知事に対し、「令和元年度における高病原性鳥インフルエンザ等(AI)の防疫対策の強化について」を通知した。
通知によると、高病原性AIと低病原性AIの防疫対策については、今年9月に一部改正した防疫指針と、平成30年9月12日付の消費・安全局通知などで、各都道府県の飼養農場に対する発生予防対策に関する情報提供と指導・助言を要望してきた。
わが国では平成30年1月以降、AIの発生は確認されていないが、今年に入ってからロシアで1月、中国で5月、台湾とベトナムで8月に家きんでのAI発生が確認されている。野鳥でも3月に中国と台湾でAIウイルスが確認されるなど、周辺国での発生状況を考慮すれば、引き続き厳重な警戒が必要なことから、渡り鳥の本格的な飛来シーズンを迎えるに当たり、改めて発生予防対策と、万一の場合に備えたまん延防止策に万全を期すよう求めたもの。具体的な要点は次の通り。
1、発生予防対策
①飼養衛生管理基準の順守状況の確認と指導
防疫指針に基づき、立ち入り検査により飼養衛生管理基準の順守状況を確認し、適切な指導をすること。特に、長期にわたって立ち入り検査に応じない所有者に対しては、罰則の適用を含めて厳格に対処すること。
②人や車両、野鳥を含む野生動物を介したウイルスの農場内と家きん舎への侵入防止
この立ち入り検査の機会をとらえ、改めて、農場に対する情報提供と指導・助言を実施すること。
2、まん延防止対策
①早期発見・早期通報
家きんの飼養者、獣医師等に対して、本病の症状の内容について周知するとともに、当該症状を呈している家きんを発見した時は、遅滞なく、家きんまたはその死体の所在地を管轄する家畜保健衛生所に届け出るよう指導すること。また、本病は家きんの死亡羽数の増加が比較的緩やかな場合もあることを踏まえ、飼養者に対し、平時から飼養家きんの健康状態について注意深く観察するとともに、死亡羽数の増加はもちろんのこと、産卵率の低下、さらには元気消失といった異常がみられた場合の早期通報の徹底を周知すること。
②的確な初動対応の徹底と連携体制の確認
都道府県は、家きんの飼養者、獣医師等から、①の届け出を受けた場合には、速やかに、防疫指針に基づく対応を的確に実施できるよう、体制を改めて確認すること。また、万が一の発生に備え、県内の家畜衛生主務部局以外の部局との調整を図るとともに、防疫指針に基づき、近隣都道府県、市町村、関係機関・関係団体との連携体制を確認すること。また、防疫指針に基づき、発生時の精神的・身体的ストレスのケアのための対応や、防疫指針に基づき、食鳥処理場における本病発生時の対応について、公衆衛生部局等との連携体制を確認すること。
③本病の発生に対する必要な人員と防疫資材等の確保
万が一、本病が発生した場合に備え、速やかに防疫措置が講じられるように、防疫指針に基づき、必要な人員を確保するとともに、防疫資材と検査試薬等を必要量確保し、またはそれらの緊急時における円滑な入手について、調達先を確認し、調整(緊急時の連絡体制の確認を含む)を行なうこと。
④埋却地等の確保
本病発生時の防疫措置に伴い必要となる埋却地、焼却施設等の確保状況について確認を行なうこと。また、事前確保が十分でない場合は、防疫指針に基づき、調整を行なうこと。
⑤農場立ち入り検査時の簡易検査の羽数と採材方法について
9月11日付で一部改正された防疫指針に基づき、異常家きん等の届け出が飼養者からあった場合の農場での立ち入り検査時に行なう簡易検査の羽数について、死亡家きんについては11羽以上、生きた家きんについては少なくとも2羽以上の検査を実施すること。また、死亡家きんの採材の詳細な方法について、改めて関係者に周知・徹底すること。
3、その他(野鳥のサーベイランス)
環境省から野鳥のサーベイランスの協力依頼があったことを踏まえ、引き続き、防疫指針に基づき、自然環境部局と相互に連絡、適切に分担して野鳥のサーベイランス検査を実施するとともに、野鳥等において本病ウイルスが確認された場合には、周辺農場に対し、必要に応じ立ち入り検査を実施するほか、注意喚起と家きんの健康観察の徹底を指導すること。