鳥梅の「地域農産物加工・物流施設」完成
中小の地場企業に求められるニーズを実現
㈱鳥梅(本田直隆社長―本社・新潟市江南区曙町4-9-2)は、本社の隣接地に建設していた「地域農産物加工・物流施設」が完成したことから、4月10日に取引先関係者らを招いて内覧会と竣工祝賀会を開いた。
地域農産物加工・物流施設は鉄骨2階建て。1階に鶏加工室、牛豚加工室、野菜加工室、加熱加工室、そうざい加工室、冷蔵庫、冷凍庫などが入る。鶏加工室にはマルチスライサー、スキンナー、二ツ割機、串刺し機、真空タンブラー、パン粉製品製造ラインなどを設置。野菜加工室ではピュアスター(微酸性電解水)で野菜を洗浄・殺菌する。加熱加工室ではスチームコンベクションを使って蒸し鶏、揚げないから揚げ、ローストチキン、煮物を製造。そうざい加工室では加熱加工品のカットや小分け、包装などの様々な作業を行なう。2階には事務所や応接室、会議室、休憩室などのほか、テストキッチンを完備して加熱加工品のレシピなどを試作する。6月からは敷地内に設置する農産物直売所で、地元産農産物の販売も始める予定。
ANAクラウンプラザホテル新潟で開いた竣工祝賀会で、式辞を述べた本田直隆社長は「すべての設備が整った状態で内覧していただければよかったが、わが社の業態上、基本的に365日、業務を止めることができない。生産設備はゴールデンウイークの終盤までに順次移設し、完全な稼働は5月8日を予定している。食鳥業界では平成最後の竣工式で、新元号の令和では最初に稼働する新施設になると思う」とした。
また、昭和8(1933)年の創業から86年目を迎えた同社の歩みを紹介し、「食鳥検査制度の導入を機に、鶏肉の処理場から加工施設に切り替え、原料販売と加工販売を両輪に歩んできた。本社の所在地は創業者夫婦の生まれ故郷でもあり、この地に新施設を建設できたことは感慨もひとしおである。新施設では従来の業務に農産物の販売と加工を加えて運営する。わが社は中小企業であると同時に地場企業であり、社員は新潟県内と山形県庄内地域の出身がほとんどであるが、地方の現状は人口減少が進む中で、特に郡部での配送効率が低下している。我々は地場企業として郡部への配送維持は責務と考え、郡部の方々が市街地と同様に新鮮な食品を日々、普通に買える環境を整備する一助になることを目指し、農産物の取り扱い拡充により収益性を向上させ、配送維持を実現する。また、お客様が本来、傾注しなければならない調理作業が人手不足で回らないという意見を多くいただいているため、新施設では食材の下処理を受けて、お客様が一番注力しなければならない最終の調理加工に集中できる環境の実現に努力していく。
新潟県は農業県で、米や日本酒以外にも全国的にトップクラスの生産量を誇る農産物がたくさんあり、どれもとてもおいしいが、新潟県人の特質なのか、アピールが下手なばかりに全国的に認知されていない。食肉と農産物のコラボを通じて、県内外においしい農産物をアピールする一助になればと思っている。わが社は鶏肉中心の食肉販売会社で、引き続き食肉販売を通じて地域に役立ち、お客様に喜ばれる企業を目指す。そしてその努力を一日たりとも欠かさない。新施設は中小の地場企業にしかできない、だからこそ求められるニーズを実現するための施設である。お客様の『ほしい』『困った』をかなえる、地域にとって不可欠な企業を目指していく。本日を機に従来にも増して精進するとともに、将来の100周年に向かって確実な歩を進めることを約束する」などと述べた。
多数の来賓を代表して新潟市江南区役所の米山弘一区長、(一社)日本食鳥協会の佐藤実会長、全農チキンフーズ㈱の坂井達弥社長が祝辞を述べた。米山区長は「新施設が稼働することにより、さらなる雇用の創出や地元農産物の生産・消費拡大など、地域経済の活性化につながり、江南区はもとより新潟市の発展にも大きく寄与するものと期待している」と激励。佐藤会長は「創業以来の企業理念である『すべてはお客様のために』をモットーに、安くておいしい商品、安全・安心な商品を開発し、提供することを最大のテーマとしている。新施設を最大限に活用することで、今まで培った加工品の開発や物流のノウハウをさらに強化して、新潟県を代表する食肉加工品企業としてますます発展され、創業100周年を迎えることを心から祈念する」と祝福した。坂井社長は「人口が減少する中で消費の減退が懸念されているが、鳥梅はお客様のニーズとウォンツをしっかりと受け止めて商品化し、商圏を拡大している。新施設はさらなる成長と拡大につながるものだと考えているし、14年後に迫った創業100周年、さらにその先に向けて新たな未来を切り開くものと確信している」とたたえた。
新施設の建設工事に携わった㈱福田組の福田勝之会長、高野不動産㈱の平澤清二社長、㈱NIPPO北信越支店の大場信秀執行役員支店長に、本田社長から感謝状が贈られた。
関係者による鏡開きの後、日本ハム㈱の木藤哲大取締役常務執行役員海外事業本部長の発声で乾杯し、なごやかに歓談した。この間、新潟古町芸妓が踊りを披露して祝賀会に華を添えた。中締めでは㈱第四銀行の堀岳彦執行役員の音頭による三本締めでお開きとなった。