産卵能力の高いウズラ 愛知県農業総合試験場が2系統を開発

愛知県農業総合試験場(濱田千裕場長―愛知県長久手市岩作三ケ峯1-1)の畜産研究部養鶏研究室は7月16日、名古屋市の愛知県庁で、産卵能力が高く、羽色でひなの雌雄鑑別ができるウズラ2系統を開発したと発表した。
愛知県内のウズラ飼養戸数は平成26年2月現在で27戸、飼養羽数は275万羽(愛知県農林水産部畜産課調べ)で全国1位。生産されるウズラ卵は、約7割が加工用、約3割が生食用として全国に出荷されている。ただ、生産農家の多くがひなの自家繁殖を行なっているため、近親交配の影響でウズラの生存率や産卵能力が低下し、生産性の向上が課題となっていた。
愛知県農業総合試験場では、平成16年から県内のウズラと血縁の離れたものを素材に系統の開発に取り組み、野生色系統「WW」と、ブラウン系統「BB」の、羽の色の異なる2系統を完成させた。商業的に生産されるウズラの系統開発は、全国で初めて。
新系統の『野生色系統「WW」』の特長は、①丈夫で、飼養環境の変化などのストレスに強い②産卵期間中に得られる規格卵(卵重が9.5~12.5g)が増える③卵殻表面にカルシウムが沈着し、白っぽく粉をふいたように見え、卵殻が厚くて割れにくく、市場で好まれる「粉(こな)ふき卵」の割合が高まる――など。
『ブラウン系統「BB」』の特長は、①産卵開始が早く、産卵個数が多い上に規格卵率が高いため、産卵期間中に得られる規格卵が増える②商品性の高い「粉ふき卵」の割合が高まる③「BB」系統のオスと、野生色のメス(「WW」または農家が一般的に飼育しているウズラ)との交配で得られたひなは、雌雄で羽の色が異なるため、一目で雌雄鑑別できる――など。
農業総合試験場では、今回開発した系統を種鶉に使用することで、生産農家におけるウズラの生存率や生産性の向上が期待されるほか、「BB」のオスを利用することにより、羽の色でひなの雌雄鑑別ができ、生産コストの削減につながるとしている。
新系統のウズラの譲渡計画は今年8月から平成29年度までの3年間で、愛知県畜産総合センター種鶏場(安城市篠目町)を通じ、県内のウズラ生産者に種卵で譲渡(有償)する。当面は県内の75%の生産農家への普及を目指すが、県外への販売については「余裕ができたら対応したいが、今年は県内予約以外の対応はできない」としている。
【ウズラの新系統。左がブラウン系統「BB」、右が野生色系統「WW」】

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