日本養鶏協会が臨時総会で定款改正 新規「鶏卵安定事業」に応募へ
(社)日本養鶏協会(栗木鋭三会長)は、去る12月17日に都内のホテルで臨時総会を開き、(1)鶏卵価格差補てん契約の締結(2)養鶏生産者の個人加入――を認める定款改正を、改正に必要な3分の2を上回る80%以上の圧倒的多数の賛成で可決した。これにより同会は、農林水産省が平成23年度予算で実施を予定する卵価補てん事業と成鶏更新事業を組み合わせた「鶏卵生産者経営安定対策事業」への応募資格を得ることになった。
現在の(社)日本養鶏協会は45道府県協会(東京、大阪を除く)と中央8団体の計53会員(団体)で構成されてきた。今回の定款改正の目的は、農林水産省が平成23年度予算で、これまでの卵価補てん事業と成鶏更新事業を組み合わせた新たな「鶏卵生産者経営安定対策事業」を実施することになったため、成鶏更新緊急支援事業を実施してきた日本養鶏協会が新事業の実施主体となるために、定款に卵価補てん事業を加えることと、国からの指導もあり、団体会員だけでなく、養鶏生産者の個人会員も加えることの2点。
同会では、各地域や各県で定款改正のための説明会を積極的に開き、これまで中小規模の養鶏生産者から強く求められてきた鶏卵の需給安定機能が、戦後初めて23年度の国の「鶏卵生産者経営安定対策事業」に組み入れられ、公募で実施主体が決まるため、全国の鶏卵中央団体である日本養鶏協会が応募資格を満たす定款改正に理解を求めてきた。
17日の臨時総会では、現在の卵価基金事業を担っている全鶏連や全農、一部の県協会から、個人加入により、日本養鶏協会は大規模の意向が強くなって、中小生産者の意向が無視されるのではないかとか、日本養鶏協会の力量では卵価補てん事業を円滑に行なえないのではないか、などの意見が出された。
栗木会長や島田英幸専務理事からは、会員の権利は規模の大小ではなく、会員一人ひとりにあるため、それによって中小が不利益を受けることはなく、むしろ多くの中小を含めた個々の生産者の意向がより強く反映されることになる、などと回答した。
また、定款が改正されて、生産者との直接契約による卵価補てん事業が行なえるようになれば、これまでの飼料代金に上乗せされられてきたような大きな管理事務経費が大幅に節減できる――などと説明し、『鶏卵価格差補てん契約の締結』『養鶏生産者の直接加入』の各議案を改正に必要な3分の2を上回る80%以上の賛成で可決した。
日本養鶏協会の定款改正が成立した意義は、同会が新しい事業に取り組む資格・可能性が出てきただけでなく、名実ともに全国の養鶏生産者を統括する中核的生産者団体になる資格を得たことにある。これによって、日本鶏卵生産者協会との組織の一元化・統合が進められ、生産者の意向をより集約統一して養鶏産業の諸課題に取り組むことになれば、大きなパワーを持つことになると期待される。
全農と全鶏連の卵価基金が一本化へ
全農と全鶏連は、17日の日本養鶏協会の臨時総会で、それぞれの(社)全国鶏卵価格安定基金と(社)全日本卵価安定基金を一本化して、平成23年度の国の「鶏卵生産者経営安定対策事業」に応募する意向を示した。