国産卵用鶏の課題を検討 岡崎牧場がたまごシンポジウム

(独)家畜改良センター岡崎牧場(末國富雄場長)は、10月12日に兵庫県相生市の相生ステーションホテルアネックスで、平成18年度卵質改良部会(たまごシンポジウム)を開催した。
冒頭あいさつした末國場長は、「鶏卵の差別化が難しい中、国産鶏を考えた場合、いろいろなことに着目して差を付けていくことが必要になっている。食品としての多様性を持たせるため、安全・良質・新鮮、消費者への情報提供、さらにはNon-GMO飼料などによる差別化があるが、種の国産鶏もこの仲間になることが重要である。今回、国産鶏について、そうそうたる方々をパネラーとして迎えており、国産鶏とはどのようなものなのかについて考えていきたい」などと開催趣旨を述べた。
研究者、消費者、流通業者、民間育種改良業者の代表4氏がパネラーとして出席。「実用鶏の現状について」発表した群馬県畜産試験場の後藤美津夫独立研究員は、外国鶏の産卵性能などの概要を報告するとともに、外国鶏の日本市場での課題について、(1)加齢に伴う品質低下があること(2)卵殻色にバラツキがあること(3)肉斑は発生率の改善が必要であること(4)日本向けの鶏を作るのであれば、糞の量や質(水分)を低減する必要があること――などを挙げ、「これは国産鶏を改良するヒント(国産鶏の課題)でもある」と指摘した。
「国産鶏の鶏卵を取り扱う理由」について発表した生活クラブ事業連合生活協同組合連合会の田辺樹実開発部長は、同生協の理念である『安全、健康、環境』を考えた場合、生産から廃棄に至るすべての過程に責任を持つこと(=関与できる仕組み)が重要で、この考えから、「種も国内で確保できなければならないとして、国産鶏を取り扱っている」と強調した。
「流通・販売実態から見た国産鶏普及の可能性」について発表したJA全農たまご(株)西日本営業本部の菅野芳光営業部長は、西日本の鶏卵の需給動向の概要を報告するとともに、「種からの国産鶏を認知させるには、消費者に理解してもらうことが重要であり、そのためには消費者と関係するバイヤーに認めてもらう必要がある」とするともに、国産鶏は外国鶏並みの産卵性能の改良が必要であるとした。
「国産鶏の育種改良と普及に取り組む立場からの提言」について発表した(株)後藤孵卵場の望月完二常務取締役研究開発本部長は、ゴトウの国産鶏の改良が進展していることを報告するとともに、国産鶏の育種改良と普及の必要性について、食の安全性や食料の自給問題と関連づけて説明した。そのうえで、「民間として国産鶏の改良と普及をさらに進展させるためには、国(家畜改良センター)や県(岐阜県など)の支援も必要である」と訴えた。
各パネラーと参加者が意見交換した後、座長を務めた末國場長は、「次回の卵質改良部会では、今回のたまごシンポジウムの各パネラーが指摘した課題に、関連する人から発表してもらい、国産鶏の改良と普及に役立てたい」とした。

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