鶏卵、鶏肉の輸出に期待 令和2年度農業白書

コロナの影響も特集

政府は5月25日、令和2年度の農業白書を閣議決定した。

今年度の白書では、トピックスとして7つの項目を取り上げており、令和12(2030)年までに5兆円を目標とする「農林水産物・食品の輸出戦略」では、海外で評価される日本の強みとして、鶏卵では「半熟卵が浸透し、生食できる卵としての品質」、豚肉・鶏肉では「とんかつ、焼き鳥などの日本の食文化とあわせ、海外の日本ファンにアピールする」ことを挙げて「今後の輸出の伸びに期待している」とした。

「鳥インフルエンザ、豚熱への対応」では、18県・52事例で発生し、約987万羽が殺処分された鳥インフルエンザについて、飼養衛生管理基準の順守指導の徹底や全国一斉点検、緊急消毒などに取り組んだことを紹介した。

特集の「新型コロナウイルス感染症による影響と対応」では、食料消費面や農業生産・販売面への影響や、緊急経済対策などを取り上げ、家庭内消費が増加し、業務・外食消費に大きな影響が出たことなどを紹介。

本文は第1章「食料の安定供給の確保」、第2章「農業の持続的な発展」、第3章「農村の振興」、第4章「災害からの復旧・復興や防災・減災、国土強靭化等」で構成されている。

第1章「食料の安定供給の確保」では、令和2(2020)年3月に閣議決定した食料・農業・農村基本計画で定めた令和12(2030)年度の食料自給率の目標(供給熱量ベース45%〈2019年実績37%〉、生産額ベース75%〈同66%〉)に触れるとともに、同基本計画で飼料が国産か輸入かにかかわらず、畜産業の活動を反映・評価するために新たに位置付けられた「食料国産率」と「飼料自給率」の双方を向上させていくことが重要とした。

第2章「農業の持続的な発展」の中で紹介された主要農畜産物の生産動向では、すべての畜種の飼養戸数が減少する一方、1戸当たりの飼養頭羽数は増加傾向で、大規模化が進んでいるとしている。

鶏肉の生産量は「消費者の健康志向の高まりを受け、価格が堅調に推移していることなどから生産量が増加傾向にあり、令和元(2019)年度は、前年度に比べ2.1%増の163万3000トン」となり、鶏卵の生産量は「平成25(2013)年度以降の堅調な価格を背景に生産が拡大傾向で推移し、生産量は前年度に比べ0.4%増の264万トンとなった」と紹介した。